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教えて!ヒアリでどうなる?


私たちの身近にも毒や針を持つ昆虫がいます。どんな危険な虫がいるのか、その対処法などを聞きました。

教えて!ヒアリでどうなる?

身近な昆虫にも目を向けてみよう!

 国内各地で相次いで見つかっている南米産のヒアリ。毒性が強く、刺されると激しい痛みを感じます。
私たちの身近にも毒や針を持つ昆虫がいます。夏休み真っ最中、薄着での外出や山でのレジャーが増える時季。
身近にはどんな危険な虫がいるのか、その対処法などを、昆虫の生態に詳しい奥島雄一さんに聞きました。

奥島雄一さん

教えてくれたのは…

倉敷市立自然史博物館 学芸員
昆虫担当
 奥島雄一さん

 倉敷市立自然史博物館では9月10日(日)まで「チョウきれい! チョーたのしい! 昆虫展」を開催中です。危険な昆虫の展示コーナーも行っています。危険な昆虫についてなど分からないことがあれば何でも聞いてくださいね。

ヒアリ拡大写真

ヒアリに刺されると!?
 刺されると、強く激しい痛みが続き、腫れが生じます。体質によっては数分後から数十分後にアナフィラキシーショック(呼吸困難、血圧低下など)を起こします。異常を感じたらすぐに医療機関を受診しましょう。
ヒアリのアリ塚

ヒアリ(左)と、土で作られるドーム状のアリ塚(写真は2点とも環境省提供)

「ヒアリかな」と思ったら観察を

 福岡市では30代の男性がヒアリに刺される国内初の被害が確認されました。岡山県内では、まだ発見されていませんが、今後見つかる可能性はあります。ただ怖がるのではなく、ヒアリの特徴と対処法を知っておくことが大切です。

 「ヒアリかな」と思ったら、まずは落ち着いて観察を。在来種とは違い、ヒアリの働きアリは体長が2・5㎜〜6㎜とまちまちで、土でドーム状の大きなアリ塚を作ります。そのような集団を見つけたら要注意です。また、集団で襲い掛かり、お尻の毒針で人を刺してくる場合は、ヒアリの可能性が高いといえます。

 ヒアリに似たアリを見つけたからといって、慌てて駆除してはいけません。在来種のアリの命まで奪い、日本の生態系を壊してしまうことにつながります。ヒアリの競争相手がいなくなることで、さらにその地に定着する恐れがあるのです。自己判断せず、必ず県や市などに相談を。ヒアリのサンプル(写真や採取した現物)を持参すれば鑑定してくれます。

 倉敷市立自然史博物館(倉敷市中央)1階エントランスホールでは、9月10日(日)まで、ヒアリの実物標本を無料公開しています。実際の姿を知り、いざというときに備えましょう。

ヒアリに関する問い合わせ先

☎ 086(223)1561 環境省 中国四国地方環境事務所野生生物課(北区下石井)
☎ 086(226)7309 岡山県 環境文化部自然環境課(北区内山下)
☎086(803)1284 岡山市 環境局環境保全課(北区大供)

意外と危険! 身近な昆虫たち

 私たちの周囲には、危険な昆虫が何種類もいます。

 例えば、岡山県下では、マダニに刺されて感染する「日本紅斑熱(こうはんねつ)」の症例は、平成22年〜26年に19例発生(岡山県感染情報センター調べ)しています。急激な増加はありませんが、被害は確認されています。

 町中でよく目にするチャドクガは、毒の毛を持っています。知らないうちに触れると激しいかゆみや発疹ができることがあります。水辺にいるマツモムシ、草地にいるクロモンサシガメを素手で握ると、針状の口で刺され、激しく痛みます。

 このように昆虫は、さまざまな方法で人に被害を与える場合があります。町や山でよく分からない昆虫を見かけたら、むやみに触らないように。街中でも公園など緑のある場所では、油断しないこと。

この時季、注意! 危険な昆虫たち

写真提供:倉敷市立自然史博物館

チャドクガ
チャドクガ 生息場所 ツバキやサザンカ、チャなどツバキ科の植物。年に2回発生。次は9月なので要注意
毒性 毒毛に触れると激しいかゆみや発疹ができる。毒毛は幼虫時だけではなく、成虫、卵、繭にも付着しているので注意
応急処置 こすらず、セロテープなどで毒毛を除去するか、水で洗い流す
予防法 冬のうちに葉裏の卵塊を除去。幼虫時には、ビニール袋で覆いながら枝や葉を切り取って袋に入れる
ヒロヘリアオイラガ
ヒロヘリアオイラガ 生息場所 サクラやカエデ、カキの葉裏などの広葉樹に広く発生する
毒性 多くのとげを持ち、触れると痛みがあり、かぶれる
応急処置 水で洗い流す
予防法 幼虫が集合している場合や繭を確認した場合は除去する
マツモムシ
マツモムシ 生息場所 池や沼などの水辺。プール掃除前の汚れたプールにもいる
毒性 手で握ると、針のような口先で刺す。ハチに刺されたような痛みのあと、かゆみがある
応急処置 放置しても数日で治ることが多い。かゆみが続く場合は医療機関へ
予防法 むやみに触らない
クロモンサシガメ
クロモンサシガメ 生息場所 草地。街中でも、地面を歩いて餌を探す
毒性 手で握ると、針のような口先で刺す。激しい痛みがある
応急処置 症状がひどければ医療機関へ
予防法 むやみに触らない
マイマイカブリ
マイマイカブリ 生息場所 森林とその周辺
毒性 危険を感じると尾部から毒性の液体を噴射する。刺激が強く、やけどのような症状を起こす。特に、目に入ると痛みと炎症を起こすので、要注意
応急処置 医療機関へ
予防法 むやみに手で押さえつけたり、顔を近付けたりしない
キイロスズメバチ(上) オオスズメバチ(下)
キイロスズメバチ
オオスズメバチ
生息場所 9〜10月ごろに一番巣が大きくなり、個体数が増えるので要注意。キイロスズメバチは軒下や屋根裏に、オオスズメバチは地下の空洞
毒性 毒性が強く、毒量も多い。アナフィラキシーショックを起こす場合もある
応急処置 刺された場所を水で洗い、医療機関へ
予防法 巣の近くでは攻撃性が強くなるので近づかない。黒いものを身に付けない。姿勢を低くする

虫に刺されたら、まず薬局の薬剤師に聞いて

イメージイラスト

 この時季、野外での活動には〝備えよ常に〟といわれる防虫剤。市内のドラッグストアでは「虫刺され薬は暑くなるに連れて需要が伸びています。レジャーでは、即効性があり抗炎症作用が強いステロイド剤配合の薬がおすすめです。子どもに使用する場合は薬剤師に要相談を。不明な点は、店頭の薬剤師にお尋ねください」(ザグザグ担当者)と話しています。

その駆除、ちょっと待って

 人に危害を加えるからといって、昆虫をやみくもに駆除すればいいというわけではないのが難しいところです。例えば、スズメバチのように、ほかの昆虫を食べることで生態系を維持する役割を担っている場合もあるからです。

 駆除のための薬剤散布は、害虫だけでなく、益虫や関係のない昆虫までも駆除して生態系を壊すことがあります。害虫が侵入した際、かえって繁殖しやすい環境を作ってしまうことにもなりかねません。危険度合いや被害の程度を考えて、適切な方法での害虫駆除が求められます。

この虫なあに? 親子で調べて

 野山や緑の多い所へ遊びに行く前に、人に被害を与える昆虫の種類や生態、生息地をよく知り、どんな昆虫がどんな症状を引き起こすかを知っておくと、いざというときに役立ちます。

 子どもたちにとって公園で遊ぶことや、山や川で自然に触れることは、とても大切なことです。危険なことから遠ざけるのではなく、「なぜ、危険なのか。なぜ、してはいけないのか」を自分たちで考え、実際に体験することで子どもたちは大きく成長します。

 危険な昆虫が活発になる夏から秋にかけて、親子で話し合ういい機会です。正しい知識を身に付け、自然を楽しみましょう。

昆虫をシャットアウト!~野外で遊んだり活動する際の服装~

長袖(袖口がすぼんでいるもの)、長ズボン(裾は靴下の中に入れる)を着用
ハイカットのトレッキングシューズや長靴
虫よけスプレーを忘れずに

「リビングおかやま」「リビングくらしき」2017年8月12日号掲載

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