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OKAYAMA VENTURE 注目の県内ローカルベンチャーをピックアップ


地域を盛り上げようと斬新なアイデアで起業する会社(=ローカルベンチャー)があります。
今注目の県内ローカルベンチャー3社を紹介します。

地域に新しい風を吹かせる企業を応援!OKAYAMA VENTURE注目の県内ローカルベンチャーをピックアップ

起業しても経営を続けていくのが難しい時代。その中で、地域を盛り上げようと
斬新なアイデアで起業する会社(=ローカルベンチャー)があります。
今注目の県内ローカルベンチャー3社を紹介します。

クリエイティブリユースの廃材パーツ野菜イメージままチョビイメージ

Uターン者IDEA R LAB イデアアールラボ

廃材×新しい生かし方

大月さん

大月ヒロ子さん

クリエイティブリユースの拠点が玉島に

歴史ある家屋が多く残り、下町の風情漂う倉敷市玉島。昔からモノづくりが盛んなこの地区に、国内初のクリエイティブリユースの拠点「IDEA R LAB」が、平成25年に設立されました。家庭や企業から出た廃材を、人の想像力によって、新しいモノに創造し直す取り組みです。

同施設の代表・大月ヒロ子さんは、玉島の生まれ。長らく東京を拠点にミュージアムのコンサルティングなどを行ってきました。その中で、子ども向けのワークショップなどで廃材を扱う内に、クリエイティブリユースに興味をひかれるように。そして23年の東日本大震災がきっかけの一つとなり、地元に同施設を開設。

before

読まなくなった本(左)のページを切り取ったピースを用意

after

ピースを組み立てるとランプシェードに変身

地域と外界をつなぐ開かれた場所へ

ラボでは、クリエイティブリユースに関するワークショップや講演会、上映会などを実施。また、アーティストやデザイナーが滞在制作や制作発表をできる「アーティスト・イン・レジデンス」としての活用も。現在開設から2年が経ち、活動の幅も広がりをみせています。進行中の「エリア・イノベーションプロジェクト玉島」では、ラボのほかに、廃材を分類展示して保存する方法を実験する「マテリアルライブラリー」や、倉敷芸術科学大学と協働で運営する「グリーンファブラボ玉島ベータ」などのプロジェクトが動いています。さらに、十数人の中心メンバーと建物や空間などをクリエイティブリユースしながら改修工事を行っています。

「廃材は、誰に対しても〝ソウゾウ〟のスイッチを押す力があります。手と頭の両方を使いながら、想像し創造することが人間らしい生活であり、それをサポートしてくれるのがクリエイティブリユースなのです。昔からモノづくりの文化が根付いている玉島で、地元の人たちとそれを日常化したい。そして、地元の人と海外や県外から来るクリエイターたちがつながれる、開かれた場所になればいいですね」と語ってくれました。

会社情報
倉敷市玉島中央町3-4-5
☎090(3234)3216
フェイスブック https://www.facebook.com/IDEARLAB

ワークショップ情報

「KIDS&PLAY LAB」

子ども対象のワークショップ。
道具や、衣類、遊び、食べ物など何を作るのかは参加してからのお楽しみ。

日  程/9月23日(祝)、10月21日(水)
時  間/14:00~15:00
場  所/IDEA R LAB(倉敷市玉島中央町3-4-5)
参 加 費/500円(材料費込み)
募集人数/6人(4歳以上・保護者同伴)
予約方法/名前・年齢・メールアドレス・電話番号を明記の上、mail@idea-r-lab.jp

※ほかワークショップ情報はフェイスブックページで検索を

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現役大学生いぶき

子どもへの食育×農業ビジネスの確立

梶岡さん

梶岡洋佑さん

国内唯一! 学生社長の農業法人が誕生

現在、岡山大学法学部4年生の梶岡洋佑さんは、学生で唯一の農業法人「いぶき」の代表取締役として会社を設立。なぜ、学生で農業なのか―。「高校生のころ、いとこが起業したのを間近でみていて刺激を受けました。大学1年生のときには、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)が盛り上がっていて、食に対する関心が高まっていた時期であったことと、自分の出身地・真庭が元気になるビジネスをしたいと考えたとき、岡山は農業生産額が中四国で1位。農業ビジネスが元気になれば地域も活性化すると考えたんです」と梶岡さん。

とはいえ、実家は農家ではなく、自身も全くの農業初心者。平成25年4月から約1年間、紹介された瀬戸内市の農家に通いつめて農業を学びながら、同年11月、今までバイトなどで貯蓄した資金で起業したそう。「いぶきの野菜は、農薬・化学肥料を行政基準の50%以上削減。野菜の味の決め手となる土作り、品種、気候、収穫時期にも考慮して、年間50種類以上の野菜を瀬戸内市の栽培契約農家とともに作っています」

お手伝いする子供
対面販売の様子

ひかり学園での対面販売の様子。子どもたちも積極的に手伝ってくれるそう

20年後も続く豊かな農業のために

昨年秋ごろから、岡山市南区にある私立幼稚園・保育園「ひかり学園」で始めた対面販売では、野菜嫌いだった子どもたちが〝いぶきの野菜なら喜んで食べる〟という事実に驚きとやりがいを感じたそう。これをきっかけに、子どもたちへの食育と、農家の所得向上の両立を目指して、岡山市内の私立幼稚園でのネット注文販売を構想。まずは同学園でデモンストレーションを行い、9月から本格始動しました。「ネット注文販売にすることで、鮮度が重要な葉物などは収穫からほぼ24時間以内に園に届けることができ、保護者は迎えに来たついでに新鮮な野菜を持ち帰ることができます。また、事前注文なので必要量だけを収穫し廃棄も出ません。今後は契約幼稚園数を増やし、一人でも多くの子どもたちに安全でおいしい野菜を届けたいです」と話します。

白菜

また、農業の担い手育成にも積極的。起業当初から年に1回、久米南町で開催している農業体験には、県外から多数の大学生たちが参加。若者が農業に触れられる機会を作り、20年後も魅力あるビジネスとして続くように、卒業後も活動を続けていきます。

会社情報
岡山市北区学南町2-9-12 金谷住宅北
☎080(6333)5126
ibuki-yasai.com
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他県出身者ココホレジャパン

地域の魅力ある素材×エンターテインメント

浅井さん

浅井克俊さん

地域のオリジナル食材を違う角度からアプローチ

ちまたで話題の「ままチョビ」をご存じですか。岡山県産のママカリを使用してアンチョビフィレ風にした商品で、生産してもすぐに品薄になるほどの人気ぶり。生みの親である浅井克俊さんは、平成24年に東京から瀬戸内市に地域おこし協力隊としてやってきて、25年7月に地域の魅力をPRする会社「ココホレジャパン」を設立。「きっかけは瀬戸内市の認定ブランド・セトウチキレイへ〝ままチョビ〟を提案したことです。ママカリは岡山だけのオリジナル食材。それを今までとは違ったアレンジで提案することで、地域の特色をスケールアップできると考えたんです」と浅井さん。

現在は〝ままかre:Project〟と銘打ち、第2弾「ままニャカウダー」(ママカリのバーニャカウダー)や、「ままぽり」(骨せんべい)などの商品を発売に向け準備中。ほかにも、新商品を企画中で、一緒に取り組んでくれる人を探しているんだそう。

同プロジェクトは、ママカリで新しいマーケットを広げ、岡山の認知度を上げるとともに、ボランティアではなくビジネスとしてさまざまな人がつながっていくことを目標としています。

「笠の輪」の商品

プロデュースした道の駅・笠岡ベイファームのオリジナルブランド「笠の輪」の商品

ままチョビ

ままチョビ(ママカリのアンチョビフィレ風)。1個864円。天満屋岡山店やイオンモール岡山・ハレマチ特区365などで販売(品薄のため商品がない場合もあります)

岡山の10~20年後につながる事業企画を
地域・行政とともにやっていきたい

「23年ごろ、東京の働いていた会社でのキャリアがひと段落し、違う働き方を模索していました。その当時震災も重なったので、以前から興味のあったソーシャルビジネスを移住先でトライしてみようと思ったんです」と浅井さん。

岡山は一度も訪れたことがなかったものの、第1回瀬戸内国際芸術際で瀬戸内海を訪れたときに感じたノスタルジックな雰囲気への憧れと、災害の少なささから引っ越しを決意。

「昔から、自分の半径5mを良くしたいと思いながら暮らしてきました。今は10~20年後の岡山の未来につながる事業を地域と企画していきたい。それが地域のなりわいになってくれたらうれしいです。〝ままかre:Project〟はその第一弾ですね。今後は、もっと地域の人たちに当社を生かして欲しいし、行政と協働していきたい。ママカリでも何でも、面白いことを一緒にやりたいと思ってくれる人がいたら、どんどん声をかけてほしいです」と力強く話してくれました。

会社情報
岡山市北区奉還町2-9-30 ※10月からの新住所
☎086(259)1517
http://kkhr.jp

ローカルベンチャーが今後、地域で輝き続けるためには、
地域はどのように応援していけばよいのでしょうか。
起業に詳しいビジネス・インキュベーター岡山の
インキュベーションマネージャー・善木誠さんにお話しを伺いました。

企業を応援する新しい手段が出現
各企業を十分に理解することが重要

起業しても経営を続けていくことは、非常に難しい世の中です。そのような中で、起業する人は自分たちだけでやっていくのではなく、地域や周りの企業などとつながりを持ち、コラボレーションしていくことが大切です。

また、起業後に経営していくための補助金などの充実や、行政と起業者の相違をうまくマッチングし、つなげてくれるコーディネーターが今後は必要になってくるでしょう。仲介してくれる機関があることで、支援も潤滑になり、地域でローカルベンチャーが輝ける環境が整うのではないでしょうか。

一般の人たちは、消費することだけが企業を応援する方法ではありません。クラウドファンディング制度(ネットで市民などに寄付金を募り、資金を調達すること)が出現するなど、今後は新しい応援手段が充実してくると考えられます。まずは各企業を十分に理解し、将来の可能性はどうなのか、などをよく知ることで応援する気持ちも生まれますし、未来の雇用にもつながります。

地域を活性化し、私たちの生活をより豊かなものにしてくれるローカルベンチャーを、まずは自分たちのできることから応援していきましょう。

「リビングおかやま」「リビングくらしき」2015年9月12号掲載

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