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9月15日は中秋の名月 夜空を見上げて月を愛でよう


9月15日は「中秋の名月」。
秋の定番行事を迎える前に、そのルーツや天文的な基本知識について、岡山天文博物館の粟野館長に話を聞きました。

9月15日は中秋の名月 夜空を見上げて月を愛でよう

 9月15日は「中秋の名月」。
お月見を楽しむ秋の定番行事を迎える前に、そのルーツや天文的な基本知識について、
岡山天文博物館(浅口市鴨方町)の粟野諭美(ゆみ)館長に話を聞きました。

粟野諭美さん

粟野 諭美館長

収穫祭の意味合いも

イメージ画像

「岡山城と月」※月はイメージ
月の画像/岡山天文博物館提供

 まずは漢字の表記から。「中秋」と「仲秋」、どちらが正しいと思いますか。「中秋」は旧暦8月15日を意味し、「仲秋」は旧暦の秋(7~9月)の真ん中である8月全体を指す言葉です。用語としてはどちらも間違いではありませんが、旧暦8月15日を指す場合は、「中秋の名月」がふさわしいですね。ちなみに、「十五夜」も旧暦8月15日のことを意味します。

 平安時代、中国大陸から伝わったとされる「中秋の名月」。今はお団子を食べる風習だけが残っていますが、その昔は、穀物の収穫時期にあたるので秋の実りに感謝する収穫祭を兼ねた風習だったといいます。

「中秋の名月」は満月とは限らない

 今年の「中秋の名月」は9月15日ですが、旧暦に基づくため、年によって日にちが変わります。カレンダーは太陽の動きに合わせ、1年間365日で計算しますが、旧暦は月の満ち欠けを基準に1カ月がおよそ29.5日。毎年カレンダー上の暦とズレ(下表1)が出ます。

 ズレと言えば、「中秋の名月」が満月とは限らないことはよく知られていますね。満月は、太陽と月の位置が地球からみて正反対のとき。ところが、旧暦の周期はおよそ29.5日と決まっているので、こちらも、天体の動きとわずかにズレ(下表2)が出てくるのです。誤差があってもだいたい1日程度ですが、今年は閏(うるう)年だったため2日後にずれて17日午前4時ごろが満月。なので、日本で見ることができる満月に近い状態は16日深夜から17日未明にかけて。

 月の軌道により、一年のうち一番美しく月が見える時期。赤っぽい色から白色へと変化する様子も楽しんでくださいね。

●過去5年の「中秋の名月」の日にちと満月の時刻

中秋の名月(1) 満月の時刻(2)
2012 9月30日 9月30日 12:19
2013 9月19日 9月19日 20:13
2014 9月8日 9月9日 10:38
2015 9月27日 9月28日 11:51
2016 9月15日 9月17日 04:05

「国立天文台歴計算室暦WIKI」ホームページ参照

「中秋の名月」にまつわる今昔

平安時代から長らく現代に引き継がれる「中秋の名月」。時代の移ろいとともに年中行事の中身も少しずつ変化していきました。名月にまつわる今昔。「芋名月」「片見月」の2つのお話をご紹介します。

十五夜は別名、「芋名月」

 その昔、中秋の名月は「芋名月」と呼ばれていました。芋とは里芋のこと。旧暦8月15日は、里芋の収穫時期だったため、里芋を含めた収穫祭の意味合いも強かったそう。岡山の郷土史によると、県内各地で、団子だけでなく、里芋、柿、ナシなど、お月様に見立てた丸いものをお供えしていた記録が。驚くのは、丸いものが家にない場合は、柿や里芋など、他の家の“成りもの”をこの日に限り盗んでも許されていたそうです。

「片見月」は良くない?!

 中秋の名月が中国から伝わった風習なら、日本独自の月を愛でる風習は旧暦9月13日の十三夜。昔から、十五夜だけを見ることは「片見月」といって忌み嫌い、両方愛でるのがよいとされ、今でもその言い伝えが残っています。ちなみに、十三夜は、十五夜の「芋名月」に対し、「栗名月」や「豆名月」とも呼ばれます。

【参考文献】『岡山県の食習俗』岡山県、『岡山県の食事文化』鶴藤鹿忠著(日本文教出版)

秋山暁美さん

名月のお供に、月の絵本はいかが?

 月は、子どもが宇宙に興味を持つきっかけになる、最も身近な天体。名月を愛でながら、親子で月の絵本をめくってみませんか。年齢別のオススメ絵本を、岡山で活躍する絵本講師・秋山暁美さんに聞きました。

秋山暁美さんプロフィル
「えほんのカタチ」主宰。岡山で乳幼児向けの絵本選びなどのワークショップを開く

3歳ぐらいからオススメ

『14ひきのおつきみ』
いわむらかずお 著(童心社)
 愛らしいネズミの家族がお月見をするお話。ディテールを描きこんだ絵の魅力はもちろん、「中秋の名月」の、実りに感謝する本来の意味がとても自然に描かれています。

小学生からオススメ

『月へ行きたい』たくさんのふしぎ傑作集
松岡徹 著(福音館書店)
 月へ行くための方法が、ユニークなアイデアから、科学の理論を使った考察まで、幅広く描かれた科学絵本。科学が大好きな小学生や大人にもたまらない一冊です。

0歳からオススメ

『おつきさまこんばんは』
林明子 著(福音館書店)
 雲に隠れたり、出てきたりと、表情豊かなお月さまがとてもかわいらしい一冊。この絵本で描かれた現象が実際に起きると、子どもたちは自然と絵本の言葉を発するんですよ。

 「中秋の名月」の観賞イベントが県内各地で開かれます。名所でしっとり月を愛(め)でたり、天体観測をしたり、コンサートやクルージングと組み合わせたり。いろんな楽しみ方でお月見を満喫しよう!

「沢の池」に映る月と、名月を愛でる来園客たち

園内に飾られたお月見団子とススキ

岡山市

名園で風情漂うお月見はいかが?
岡山後楽園名月観賞会

日時/9月15日(木)午後5時~9時(閉園は9時30分)
場所/岡山後楽園(岡山市北区後楽園1-5)

 普段は入れない芝生を一般開放し、お弁当などを持ち寄ってお月見を楽しむ後楽園の恒例行事。「岡山三曲研究会」が奏でる箏(こと)の音色が観賞気分を盛り立てます。名月観賞会限定の「お月見弁当」(税込1200円)も販売(当日午後4時30分から後楽園の売店で販売。予約は12日午前中まで)。「名月観賞茶会」もあり、前売り券が必要。入園料400円、65歳以上140円、高校生以下無料(無料期間は2017年3月31日まで)。

 問い合わせはTEL.086(272)1148岡山後楽園

天体観測を楽しむ子どもたち

月の表情がはっきり見える

倉敷市

望遠鏡で名月を観測しよう
特別天体観望会
    「中秋の名月を見よう」

日時/9月15日(木)午後7時~8時15分
場所/倉敷みらい公園(倉敷市寿町)

 緑道や芝生広場が美しい「倉敷みらい公園」で、ライフパーク倉敷科学センターによる特別天体観望会が開かれます。天文担当職員やセンターのボランティアスタッフと一緒に望遠鏡で名月を観測。参加無料。駐車場は周辺の有料駐車場を利用。小学生以下は保護者の同伴が必要。雨天中止。

 問い合わせはTEL.086(454)0300ライフパーク倉敷科学センター

船上に座ってお月見を楽しむ

お月見クルージングの周遊コース

瀬戸内市
牛窓

牛窓沖でフルムーンのムーンロード
牛窓 お月見クルージング

日時/9月15日(木)~17日(土)いずれも午後6時出発
場所/牛窓沖

 約1時間30分、前島など島々が浮かぶ牛窓沖をゆったりとフェリーでクルージング。船内では生演奏を楽しみながら、牛窓名物の夕景にはじまり、月の光が海に伸びる幻想的なムーンロードも観賞。乗船料は中学生以上1000円、小学生以下500円。幼児は大人1人につき1人が無料。飲食物の持ち込みは自由。雨天中止。事前予約制で定員になり次第締め切り。

 問い合わせはTEL.086(934)4356前島フェリー

「星月夜のコンサート2016」のチラシ

浅口市
寄島

名月とアコースティックサウンドのコラボ
星月夜のコンサート2016

日時/9月17日(土)午後6時半~9時
場所/三ツ山スポーツ公園(浅口市寄島)

 名月を浮かべた星空をバックに、アコースティックのコンサートを聴くロマンチックなイベントで、「岡山天文博物館友の会」が開催。会場となる芝生の広場の脇には、友の会メンバーが望遠鏡を持ち寄り、月をメインとした天体観望会も実施します。入場無料。雨天決行。「星空ライブ」は午後6時40分~8時半、天体観望会は午後7時~9時。

 問い合わせはTEL.0865(44)2465岡山天文博物館

河原邸の屋敷内から名月を愛でることができる

岡山市
御津

江戸建築の重文で地元住民のおもてなし
「河原邸」のお月見会

日時/9月17日(土)午後6時~8時
場所/「河原邸」と「承芳ふれあい広場」(岡山市北区御津紙工)

 江戸時代後期に建てられた市の重要文化財「河原邸」。そんな名所を舞台に、地元の人たちがアットホームなお月見会を用意。琴の演奏や、子どもたちによるお点前など、参加費無料で体験できます。近くの「承芳ふれあい広場」も夜間開放し、会場一帯には焼き鳥やおにぎり、うどんのほか、つきたて餅なども販売。無料駐車場あり。

 問い合わせはTEL.090(9739)4413(宇甘西活性化協議会会長・古屋さん)

「リビングおかやま」「リビングくらしき」2016年9月10日号掲載

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