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こっそりしのびよる小さな吸血鬼…蚊・マダニ…夏の外遊びは虫対策をお忘れなく


夏が来るたび繰り返される蚊との戦い。
かゆいだけでなく、ウイルスを媒介する蚊もいるので注意が必要です。

こっそりしのびよる小さな吸血鬼…蚊・マダニ…夏の外遊びは虫対策をお忘れなく

 夏が来るたび繰り返される蚊との戦い。かゆいだけでなく、ウイルスを媒介する蚊もいるので注意が必要です。県内で蚊の防除の取り組みを進めている、岡山県保健福祉部健康推進課感染症対策班に取材しました。

日本でデング熱・ジカ熱を媒介するのは、ヒトスジシマカ1種類だけ

 日本には112種類の蚊が生息しているといわれますが、ジカ熱やデング熱を媒介する恐れがあるのは「ヒトスジシマカ」1種類です。ヒトスジシマカが、ジカ熱やデング熱の原因となるウイルスに感染した人の血を吸うと、蚊の体内でウイルスが増殖。その蚊がほかの人を刺すことで感染が広がっていきます。デング熱は一昨年以降、国内感染の報告はありませんが、海外の流行地域で感染して入国した人の発症例は全国で報告されています。一方ジカ熱はこれまで国内感染はなく、海外からの入国者の発症例は中南米での流行後7例が報告されています。

 これらのウイルスは国内には定着していないので、過度な心配は不要ですが、グローバル化が進みウイルスの侵入機会が増えていること、温暖化などの影響でヒトスジシマカの生息域が広がっていることから、この夏も引き続き注意が必要です。

●デング熱…
出血を伴うデング出血熱となり、重症化する可能性がある
●ジカ熱…
妊婦が感染すると、小頭症などの先天性障害がある子どもが生まれる可能性がある
感染すると、発熱や関節の痛み、発疹が出るといった症状が1週間ほど続く。※感染してもすべての人に症状が出るわけではない

ヒトスジシマカってどんな蚊?

ヒトスジシマカ

ヒトスジシマカ
ヤブ蚊の一種で、北は東北から南は沖縄まで、広く生息しています

民家の庭、公園、墓地の茂みなど、主に屋外に生息。比較的低いところにいることが多い。太陽光がよく当たる場所、風通しの良い場所にはあまりいない。
主に朝方から夕方にかけて屋外で吸血する。
人を好んで吸血するが、その他の多様な動物の血も吸う。
普段は花の蜜などを栄養源にしているが、産卵前のメスのみ吸血する。
50~100mの範囲で吸血しながら移動する。
腰から下あたりから近寄ってくることが多い。
人や動物の呼吸、汗のにおいなどに引き寄せられる。
黒系統の色を好む。

よく似ているけど、異なる虫

アカイエカ

アカイエカ
人の血を吸う
夜型。夜寝ていると、暗闇の中で「プーン」と羽音させながら近づいてくるのはこの蚊

ユスリカ

ユスリカ
ハエ目ユスリカ科の昆虫の総称
蚊によく似ているが、吸血しない

対策のポイントは発生させない、刺されない

 感染症から身を守るには、蚊がいそうな場所に行くときは肌の露出を控えたり、市販の虫よけスプレーなどで刺されないようにすることはもちろん、できるだけ蚊を発生させないことがポイント。

 ヒトスジシマカは植木鉢の水の受け皿や、屋外に捨てられた空き缶にたまった水など、少し濁った小さな水域を好んで卵を産みます。夏場、卵は2日ほどでふ化。幼虫(ボウフラ)で約1週間過ごし、サナギに。2、3日で羽化して成虫になります。1週間に一度は家の周りに水たまりができていないかチェックを(左表)。不要な水たまりをなくすことが、蚊を減らすことにつながります。

 夏は野外で遊ぶ機会も多いと思います。例えば同じ公園内でも蚊によく刺される場所と刺されない場所があります。ヒトスジシマカがひそんでいるのは、草むら、低木の茂みなど薄暗くて風通しが悪いところ。

 蚊にまとわりつかれて困るときは、日が当たる場所にいったん移動するのも手。ヒトスジシマカは低い位置から近寄ってくることが多いので、足元の虫よけ対策もお忘れなく。

好みは、少し濁った小さな水たまり ~幼虫が発生しやすい場所~

1週間に一度は、水たまりができていないかチェック!
□植木鉢やプランターの水の受け皿
□庭先に置き忘れたバケツやつぼ、コンビニ弁当などのプラスチック容器
□雨よけにかぶせたビニールシートのくぼみやすき間
□エアコンの室外機の排水のたまり
□古タイヤ
□遊具などのくぼみ
□雨水ます
□手水鉢
□落ち葉やゴミが詰まった雨とい

POINT

 岡山県が昨年から実施している調査では、水面に日光が当たりにくい、腐った木の葉が浮いているような少し濁った小さな水たまりでボウフラがよく見つかっています。逆に、太陽光がよく当たる場所、きれいな水、水の流れがあるところ、池など大きな水域にはあまりいないとのこと。建物の裏など、普段見落としがちな場所も週に一度は点検するようにしましょう。

マダニ

マダニ
フタトゲチマダニ(成虫3.5mm)
写真提供/岡山県環境保健センター

もしもマダニにかまれたら…

1 吸着しているマダニを無理に引き抜こうとせず、できるだけ皮膚科で取ってもらう
2 発熱などの症状が出た場合は、早めに内科を受診し、野山などで活動したことを伝える

今年岡山県内でかまれて重症化した例も…
病原体を持つマダニにも注意を

 岡山県内に広く分布していると考えられている「マダニ」。マダニは春から夏にかけて、活動が活発になるといわれています。マダニの中には、病原体を持っているものがおり、かまれると重症熱性血小板減少症候群(SFTS)や日本紅斑熱、つつが虫病などの病気を発症、重症になると死に至ることもあります。

 今年岡山県内で、マダニにかまれて重症化した例が報告されており、屋外で活動する機会が増える夏は特に気を付けたいもの。草むらなどに入るときは、肌が露出しないよう、袖口が絞れる長袖、長ズボン、手袋、足を完全に覆う長靴などを着用する(色の薄い服はくっついたダニを見つけやすい)、防虫スプレーを使うなど工夫を。地面や草むらに直に寝転んだり、座ったり、服を置くのはNG。野外で活動した後は、すぐに入浴し体や頭をよく洗って、新しい服に着替えましょう。脱いだ服はすぐに洗濯するか、ナイロン袋に入れて口を縛っておきましょう。

夏の虫対策のお知恵〟を紹介

蚊にまつわるQ&A

 とても身近な虫なのに、知らないことが多い蚊。蚊の生態に詳しい、長崎大学熱帯医学研究所病害動物学分野・助教の砂原俊彦先生に、蚊にまつわる素朴な疑問について伺いました。

Q. なぜ刺されるとかゆくなるの?

A. 蚊は吸血するときにまず唾液を注入します。この唾液の中には吸血中に血液が凝固するのを防ぐ成分や、刺したことを気付かれないように麻酔の働きを持つ物質などが含まれています。このような、外部から侵入してきた物質に対する私たちの体の免疫反応がかゆみを生じさせています。

Q. 蚊に刺されやすい人とは? 血液型によって刺されやすさは違うの?

A. 蚊に刺されやすい人とそうでない人がいるのは明らかです。最近イギリスで行われた実験では、一卵性双生児(遺伝子が全く同じ)のペアでは、二卵性双生児(遺伝子の類似性は通常の兄弟と同様)に比べて蚊に刺されやすさが一致していました。これは人の遺伝子によって決まる何かが、蚊の誘引に強く影響していることを示しています。

 ABO式血液型との関連が議論されたこともありましたが、現在ではあまり関係がないと考えられているようです。それよりも皮膚から微量に揮発(きはつ)する、いわゆる体臭の成分の影響が強いことが最近分かってきています。

Q. 血を吸っている最中の蚊をたたいてつぶすと、蚊が持っている菌が人間の体に入って病気になることはある?

A. 蚊が媒介する病気の病原体のうち、マラリア原虫、そしてデング熱などのウイルスは、蚊の唾液腺に潜んで、蚊が吸血の際に唾液を注入するときに一緒に体内に侵入します。蚊によって、媒介される病気では感染の仕組みがはっきり決まっていて、つぶされた蚊から皮膚を通して感染が成立した事例は私の知る限り報告されていません。

Q. 蚊に刺されないための対策、効果のある虫よけ成分は?

A. 長袖、長ズボンを着用、肌が露出した箇所には虫よけを塗るという正攻法が基本です。さまざまな虫よけグッズが登場していますが、虫が避けるような殺虫剤を練り込んだ繊維で作った服も商品化されています(※)。殺虫剤成分は有効性がよく知られているものですし、アフリカなどでマラリアの予防に使われている蚊帳と同様の製法なので、効果を期待できると思います(ただしこれを着れば、脚など肌を露出していいというものではないと思います)。

 市販の虫よけ剤では、「DEET(ディート)」という成分が最もよく使われていて、効果も定評があります。また、「イカリジン」という有効成分も使われているようです。

 先月厚生労働省がこれらの成分を高濃度で含む製品の審査を短縮して行うと発表。殺虫剤メーカーはすでに申請に動いているようです。これらが発売になると、効果の持続時間が延びるので、便利だとは思います。ただし、赤ちゃんへの使用頻度など、制限がありますので、用法の注意をよく読んでお使いください。

(※)着るだけで虫よけになる加工衣類は、㈱インセクトシールドジャパン(東京都府中市)の商品。岡山エリアでは「B.L.O.岡山問屋町店」(岡山市北区問屋町1-103)で取り扱っています。㈱インセクトシールドジャパンのHP=http://www.mushiyoke.comでは、虫よけメッシュパーカー(大人用7700円)などのネット販売も行っています

蚊・ダニ・ノミよけ、ペットの消臭にも使える「シトロネラの虫よけスプレー」

 精油(エッセンシャルオイル)を使った虫よけスプレーの作り方を「南仏プロヴァンスの風」主宰・アロマテラピー講師の八千草 花歩さんに教えてもらいました。
虫除けオイルイメージ

 虫よけ効果が高い精油として知られているのが、「シトロネラ」。「ユーカリレモン」や「ラベンダー」「ゼラニウム」「レモングラス」も昆虫忌避作用があります。シトロネラ1種類でも、またシトロネラを中心にお好みの香りをブレンドしてもOK。
 下のレシピのスプレーの濃度は1%ですが、肌が弱い方やお子さんは、精油の量を半分にして、0.5%の低濃度から使用してみてください。市販の虫よけのような即効性はありませんが、こまめに使うことで、優しく緩やかな虫よけ効果が期待できます。

材 料
・無水エタノール…小さじ1
・精製水…大さじ3
・シトロネラ…10滴
(ユーカリレモン、ラベンダー、ゼラニウム、レモングラスがあれば、お好みで10滴のうち3、4滴を変更)
~作り方~
1容器に、無水エタノールを入れる。※ガラス瓶など、アルコール耐性のある容器を使う
21.に精油を入れて、1分くらい揺らしながら混ぜる。
3精製水を加えて、ふたをしてしっかり振りながら1分くらい混ぜる。
4ラベルを書いて、容器に貼る。

◆使い方…使用前によく振って、部屋や体にスプレーする(目や口には入らないように)。虫よけはもちろん、ペットの臭い消しにも。使用期限は冷暗所で1カ月。

★無水エタノール・精製水は薬局で、精油はアロマショップなどで購入可
★使用前には必ずパッチテストをする
(ひじの内側に塗って、半日~1日おく。湿疹やかゆみがでたら使用不可)
★3歳未満のお子さんは、体に直接スプレーするのは不可

読者の皆さんの夏場の害虫対策を教えてもらいました

イメージイラスト

 夏場に活発に活動する不快な害虫。毎年退治するために、悪戦苦闘しているという方も多いのでは。そこで、岡山リビング新聞社では、害虫対策について読者の皆さんにアンケートを実施。市販のスプレーなど殺虫剤を使う以外にもいろいろな裏技が。寄せられたアイデアを紹介します。

※リビングおかやま・くらしき、弊社HPで、6/30~7/6にアンケートを実施

夏場になると、ゴミペール(ふた付きのごみ箱)の中にコバエがわいて不快ですよね。ゴミペールの中に衣類の防虫剤(和紙に包装してあるもの)を3個ほど入れておくと、防虫剤の香りを嫌うのかコバエがわかなくなりました。効き目がなくなったら入れ替えればいいだけなので毎年実践しています。(S・M)

今まで袋に入ったタマネギを冷蔵庫の外に常備していましたが、ゴキブリ駆除の業者さんからタマネギがゴキブリの大好物と聞いてからは、使う分だけ買ってきて冷蔵庫で保管しています。(H・T)

アパートでのゴキブリ対策は、とにかく湿気をためないこと。 換気扇を回すなど風通しを良くするとほんとにいなくなります。(Y・Y)

小皿に盛った塩にラベンダーやペパーミントなどのエッセンシャルオイルを5~10滴垂らして部屋の隅に置いています。キツイ香りが苦手らしく、これだけでゴキブリを見かけなくなりました!(R・N)

蚊の「壁にとまる」習性を利用した対策です。寝る前に寝室の壁に蚊がとまっていないかチェック。蚊がいたら、うちわでたたいて退治しておくと、就寝中蚊に悩まされることが少なくなりました。(K・T)

「リビングおかやま」「リビングくらしき」2016年7月16日号掲載

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