特集記事

相次ぐ大地震、岡山も例外じゃない! 家庭でできる減災対策 最も大切なのは〝自助〟


4月の熊本地震により、岡山での防災意識が高まっています。どんな心掛けと準備をしておくべきか、家族で話し合いをしておきましょう。

相次ぐ大地震、岡山も例外じゃない! 家庭でできる減災対策 最も大切なのは〝自助〟

 4月の熊本地震により、岡山での防災意識が高まっています。南海トラフ巨大地震が起こった場合の被害想定も発表されています。また、台風や集中豪雨による風水害は、全国各地で毎年起こり、いつどこで大きな災害が起こってもおかしくない状況です。自分や家族の命を守るためには、どんな心掛けと準備をしておくべきか、家族で話し合いをしておきましょう。(取材協力/岡山県 危機管理課)

「地震は起きる」と想定し備えを

震度1以上の地震の発生回数 岡山県の推移

 温暖な気候で、台風の直撃も少なく、県南には活断層がないと聞いている…。何となく岡山は安全な所と思い込んでいませんか。

 県・危機管理課では、「絶対に地震が起こらない安全な場所はありません。地震は起きるものという前提で備えをしておくべき」と呼び掛けます。

 近年の地震発生状況を見てみると、国内では、震度4以上の地震が毎年頻繁に発生しています。東日本大震災や熊本地震では、本震に続き大きな余震が頻発。

 南海トラフ巨大地震が起こった場合、県南では、震度6強~震度5強の揺れが想定され、津波高は、最大3mと想定されています。

 また県南は、大雨や集中豪雨による洪水や高潮、土砂災害の被害も考えられます。いざ自然災害が起こったとき、被害を最小限に抑えるためには、私たちに何ができるのでしょうか。

自分の命を守るための十分な備えを

 災害による被害を減らすためには、自分の安全を自分で守る〝自助〟、町内会など地域コミュニティー単位で災害発生時に助け合う〝共助〟、国・県・市町村など行政が住民を災害から守る〝公助〟が連携し、さまざまな災害に対する備えをしておくことが大切です。

 南海トラフ巨大地震が発生した場合、「甚大な被害が予想され、国や地方の機関の対応能力の限界を超えてしまい、十分な〝公助〟が行えなくなる可能性もあります。そのため〝自助〟の意識が最も大切になってきます」と同課。備えが十分でないために、命を失うことは、一番避けなければならないことです。

周囲の環境、避難所とルートを知り
非常持ち出し品、3日分以上の食料や水などを用意

「自助」としてできることは、ハザードマップを見て自分が住む地域でどんな被害が起こりうるか、どんな災害に弱いのかを知っておく、避難所がどこにあるのかを調べる、避難ルートを確認するなど。今すぐできることは、たくさんあります。このほか、家具の固定や、地震保険の加入なども自助の一つといえるでしょう。

 また、家にいるとき、会社にいるとき、電車の中など、「いつ、どこで、どんな災害が起り、その際どう行動すべきかをイメージして備えておきましょう」と同課。

 非常持ち出し品、備蓄品の準備も大切です。非常持ち出し品は家族構成を考え、必要な分だけ用意し、玄関先など、避難時にすぐ取り出せる場所に保管しておきましょう。災害時にすぐ持ち出す非常持ち出し品と、災害から復旧するまでの数日間を支える備蓄品に必要なものは、下表で確認を。

非常持ち出し品イメージイラスト

 大規模災害が発生した場合、道路の損壊などにより、防災機関による救援活動がすぐにできない可能性があります。
 備蓄品は、最低3日分、できれば1週間分を用意しておくと安心です。

◎最低限そろえておきたい非常持ち出し品

□懐中電灯 □携帯ラジオ □救急医薬品 □非常食、水
□貴重品(現金、通帳、印鑑、健康保険証など) □その他(ヘルメット、タオルなど)

◎災害後の生活を支える備蓄品

□食料…3日分(できれば1週間分)
□水…飲料は大人1人あたり、1日3ℓが目安。3日分を用意(できれば1週間分)
□燃料、卓上コンロ、毛布、カイロ、マスク、トイレットペーパーほか。高齢者、乳幼児、女性に必要なものは家族に合わせて準備

ハザードマップはどこで手に入る?

岡山市
 岡山市のハザードマップは、6月号の「市民のひろば おかやま」と一緒に各戸に配布されています。また、岡山市の危機管理室でもらうこともできます。岡山市のホームページからは、学区別のハザードマップなど、詳しい情報が閲覧できます。詳しくは☎086(803)1082岡山市危機管理室(北区鹿田町)へ。

→岡山市ハザードマップ
※「岡山市 危機管理室」で検索

倉敷市
 倉敷市のハザードマップは、各支所、防災危機管理室でもらうことができます。倉敷市のホームペー
ジからは、学区別のハザードマップなど、詳しい情報が閲覧できます。
 詳しくは☎ 086(426)3131 倉敷市防災危機管理室(西中新田)へ。

→倉敷市ハザードマップ
※「倉敷市 防災危機管理室」で検索

自分の住む地域の自然環境、過去の被災など関心を持って万一に備えよう

南海トラフ地震、岡山は大丈夫?

 熊本地震後も熊本周辺では余震が続き、また、ほかの地域でも地震が起こっています。私たちが住む岡山県は大丈夫なのでしょうか。岡山大学大学院教育学研究科(自然地理学)准教授・松多信尚先生に伺いました。

松多先生

【松多信尚(まつた・のぶひさ)先生】
東京大学理学部卒業、同大学院理学系研究科博士課程修了。
同大地震研究所特任研究員などを経て2014年から現職。
理学博士。

1000年以上の周期で地震を起こす活断層
発生確率の数値が非常に低くても油断は禁物

●日本付近のプレート図

日本付近のプレート図

クリックで大きな画像を表示

 政府の地震調査委員会は、今後30年間で震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を示した「全国地震動予想地図」の2016年度版を今月中旬に公開。岡山県も約70%と中国地方で一番高い数値が出ています。

 地震には大きく分けて2種類あります。1つは海底で起こる「海溝(プレート)型地震」。地球全体は皮のように、プレート(何枚ものかたい岩石の板)で覆われています。そのプレートは、休みなく動いており、プレート同士が境界部分で衝突すると、プレートの岩は曲がったりねじれたり、ついには壊れてしまいます。その時に掛かる大きな力が地震となって現れます(右図)。

 プレート型は比較的、規則正しい周期で発生するのが特長。「南海トラフ地震」はこのタイプです。過去には92~147年の間隔で起き、前回「昭和南海地震」は1946年に起きていることから、今後30~40年後以内に起きる可能性が非常に高いといわれています。

 一方、活断層が関係する「直下型地震」は、内陸部で発生します。活断層とは過去数十万年の間に繰り返し大地震を起こした痕跡があり、将来も活動が予測される断層のこと。阪神・淡路大震災や、熊本地震は活断層が動いたことによって発生した地震です。

活断層の地震発生確率は高くても15%程度

 地震をよく起こす活断層と、そうでない活断層があり、活断層によって経験的に1000~数万年に1度の間隔で地震を起こしそうだということは分かっています。阪神・淡路大震災以降に活断層の地震発生間隔を調べる調査が行われ、それと海溝型地震の危険度をもとに2005年から、先に発表した「全国地震動予想地図」が公表されるようになりました。

 活断層の地震の発生間隔は一般的に1000年以上と長いため、今回の調査結果のように、今後30年という時間の中で発生する確率は非常に低い数値です。全国で一番高くても15%程度。1%以下のところもあります。熊本地震があった「布田川断層帯」は地震前、30年以内の確率がほぼ0~0.9%でしたが、大きな地震が起こりました。

 地震がいつ起きるかの予知は難しく、分からない部分もたくさんあります。どこで起きるのかは過去の大地震の痕跡である活断層が存在する場所に限られます。また、M6.5程度以下の地震は地表に活断層が現われないため、地震を把握できていないこともあるのです。だからこそ、地震はどこにでも起こる可能性があり、油断は禁物です。

岡山県は山崎断層帯の影響も

●山崎断層帯地図

山崎断層帯地図

クリックで大きな画像を表示

 岡山県では主要活断層帯の「山崎断層帯」があります(右図)、県東部から兵庫県南東部にかけて、那岐山断層帯、山崎断層帯主部、草谷断層の3つからなります。

 那岐山断層帯は鏡野町から奈義町までの約32㎞の東西方向に延びている断層帯。山崎断層帯主部は、美作市から兵庫県に連なる約79㎞の断層帯。今後30年間の大地震発生率の最大値は、大地震を起こす可能性のある主要活断層の中でもやや高いグループに入ります。

●岡山県周辺の主要活断層帯と海溝で起こる地震の確率

地震 マグニチュード 30年以内の地震発生確率
■海溝型地震
南海トラフ 8~9クラス 70%程度
■内陸の活断層で発生する地震
山崎断層帯 那岐山断層帯 7.3程度 0.06~0.1%
主部(北西部) 7.7程度 0.09~1%
主部(南東部) 7.3程度 ほぼ0~0.01%
草谷断層 6.7程度 ほぼ0%

※地震発生確率値は不確定さを含む ※算定基準日2016年1月1日

被害を最小限にとどめる「減災」に取り組むには?

 地震は人類が誕生する前から繰り返し起こっている自然現象です。それが人間社会が成長するにつれ、家やビルが倒壊し、道路が崩れる、それによって亡くなる方が出てくる…と、被害も大きくなってきました。だからこそ、地震が起こるとどうなるのかを事前に予測し、対策をしておくことが減災につながります。

 例えば、住宅の耐震性能を上げること。大地震が少ない岡山は、建築基準法の新耐震基準が作られた1981年5月以前の建物も多く、耐震対策も他の地域に比べて遅れているとの声も聞かれます。家で命を守ることもできれば、失うこともあります。

 また、中四国で物流の拠点になっている岡山。南海トラフ地震が起こった際、他の地域より被害が少なければ、復旧拠点としてキーとなる可能性が大いにあります。

 そのためには自分を守ることが大切です。岡山県は過去、地震災害だけでなく洪水などの災害も多数発生しています。自分の住む地域がどんな自然環境なのか、過去の災害でどんな被害が出ているかなど、少しでも関心を持つようにしましょう。そして、いざというときに素早く対処できるように、普段から家族で話し合い、備えておいてはいかがでしょうか。

押さえておきたい地震用語

【マグニチュード】
地震そのものの大きさを表したもの。マグニチュードが1増えると、地震のエネルギーは約32倍に、2増えるとエネルギーは約1,000倍に。計算法が多数あり、日本では気象庁が定義したマグニチュード(気象庁マグニチュード)にほぼ統一されている
【震度】
特定の場所において地震の揺れの強さを表す数値。場所によって数値が異なる。現在の気象庁震度階級は揺れの弱い方から、0、1、2、3、4、5弱、5強、6弱、6強、7の10階級ある
【震源】
地震は地球内部で起こった岩盤のずれが原因で起こる。この破壊のきっかけになった地点
【震源地】
震源の真上に相当する地点
【震源域】
地震により破壊された地域全体

「リビングおかやま」「リビングくらしき」2016年6月25日号掲載

ページトップ