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甘く見ていませんか?頭皮への紫外線


紫外線による頭皮ダメージの予防&ヘアケア

甘く見ていませんか?頭皮への紫外線

 夏はプールやキャンプ、帰省など野外で過ごす時間も増えますが、少しくらい日焼けしてもいいかなと思っているあなた、紫外線を甘く見てはいけませんよ。「色白で、日光に当たることが多い人は、日光角化症の危険性が高まります。高齢になるほど注意が必要です」と話すのは岡山大学病院皮膚科の深松紘子先生。また、紫外線による頭皮ダメージの予防&ヘアケアは資生堂販売中四国支社の石田奈々さんに聞きました。

教えてもらったのは岡山大学病院皮膚科 助教深松紘子先生

広島県出身。平成15年佐賀医科大学卒業後、中国中央病院(広島県福山市)、川崎医科大学附属川崎病院などを経て2014年から現職

深松先生の紫外線対策って?

 朝はファンデーションの前に日焼け止めを塗り、首回り、両腕、足の甲にも使います。日傘、帽子も欠かせませんし、車を運転する時はUVカット手袋を。自宅の窓にはUVカットカーテンで紫外線を防御しています。

 紫外線が関与する病気としては日焼け(日光皮膚炎)がよく知られていますが、他にも紫外線により皮膚の細胞がダメージを受けてできる「日光角化症」という病気があります。中高年者の長年よく日に当たっていたところにできる腫瘍(しゅよう)で、前がん状態です。長い間かけて一部ががんに進行するとされています。

 発症しても初期は痛みなどの自覚症状がありませんが、紫外線が最も当たる顔や頭部に、かさかさした紅斑(こうはん)、びらん(浅い傷)、かさぶたのようなものができます。患者数は1989年以降増加していて、年齢的には50代以降に見られ、70代が最も多いといわれます。お年寄りの顔や手の甲に発症していても、加齢による老化現象だと思われがち。紫外線によるシミの中に日光角化症が混ざっていることもあり、注意が必要です。

 原因として考えられているのは、オゾン層破壊を起こす環境因子の変化、いわゆる紫外線量の増加です。紫外線を浴びて皮膚のDNAが損傷し、本来備わっている修復機能でも異常が起き、がん化が進みます。

 日光角化症の治療は、【1】イミキモドの外用治療【2】液体窒素による凍結治療【3】フェノールなどの薬品による化学焼灼(しょうやく)【4】手術切除―など。イミキモド外用治療というのは、もともと尖圭(せんけい)コンジローマ(陰部のいぼ)の治療に使われていた薬ですが、2011年に日光角化症にも保険適応に。角化の強い症状には効きませんが、液体窒素での凍結治療よりは効くとの結果が出ています。塗り薬なので手軽です。

 日光角化症ではないかと気になる方は、皮膚科専門医のいる病院での受診をお勧めします。

Q

紫外線を防御するには、どんな工夫をすればいいの?

A

1日のうちで早朝や夕方は紫外線は弱く、午前10時~午後3時が最も強くなります。日陰の紫外線量は日なたの約50%に減るので、野外活動時間が長い場合、テントやパラソル、よしずなどの利用を。帽子はツバが7㎝あれば60%、ハット型なら65%の紫外線を遮断できます。

Q

サンスクリーン剤の上手な使い方ってあるのですか?

A

SPF(サン・プロテクション・ファクター)はUVBを防御する値。遮光率はSPF50で98%、SPF15で93%で、SPF値と防御率は直線的には比例しません。SPF15以上はどれも日常生活には十分な値と考えますが、数値はあくまで実験室での値。過信せずに必要量をたっぷりと均一に塗りましょう。顔の場合、クリームなら直径6㎜のパール大、液体なら1円玉大を手に取って塗り、同量を2回塗ることが必要です。

Q

紫外線の正体ってなに?曇りでも降り注いでいるの?

A

太陽光の可視光線の短波長は紫色の光。それよりさらに短い波長の目に見えない光が紫外線(UV)。波長の長いものからUVA、UVB、UVCの3つに分けられ、地上に届くUVBの一部と、UVAが人体に影響を与えます。薄曇りは晴天の80%、雨では20%の紫外線が届きますので、曇りだからと油断はできません。弱い紫外線でも長時間浴びれば晴天の時と同じです。

教えてもらったのは資生堂販売中四国支社岡山オフィス美容統括部エリア担当石田奈々さん

顧客からの商品問い合わせ窓口を担当するほか、社内セミナーでの社員研修や福祉施設、各種団体、学校などでメーク講師も務める

紫外線による頭皮へのダメージ、予防&ヘアケアのアドバイスは…

 「体の中で温度が一番高くなるのが頭皮で、特に前頭部。気温が高い夏は、汗や皮脂が最も出やすい部分でもあり、頭皮にたくさん汗をかくと、秋になって抜け毛が増えてしまいます」と話すのは、石田奈々さん。

 紫外線による頭皮ダメージがどの程度か知る方法は?
 石田さんは「肌診断機器を置いてあるショップなどでご自分の頭皮の拡大画像を見てもらってください。1つの毛穴から3本くらい生えていれば理想的。毛穴と毛穴の間隔が広く、1本の毛が細い場合は頭皮への栄養補給が必要です」とのこと。

顔の場合、日焼け止めクリームはたっぷり、2度塗りが必要!

紫外線の浴び過ぎを防ぐための5つの対策

紫外線による皮膚への影響には、過度の日焼けで水疱(すいほう)ができたり、赤くはれ上がる「急性日光皮膚炎」や、体質によって少量の日光にあたるだけで光があたったところに紅斑ができる「光線過敏症」などがあります。
 紫外線の強い時間帯や晴天の時は、できるだけ直射日光の下での活動は控えましょう。

  1. しっかりした生地の衣服。出来る限り長袖、長ズボンを着用。白い洋服は紫外線を通しやすいので濃い色を着る。ただし、黒ずくめの服装は熱中症に注意を

  2. 帽子、サングラスを利用する

  3. 日傘を使う

  4. 戸外ではできるだけ日陰を利用する

  5. 日焼け止めクリームを使う(試用する前にかぶれないか確認を忘れないこと。効果の持続時間は、クリームにもよりますが2時間ほどなので、こまめに塗り直す

紫外線による頭皮ダメージの予防とヘアケアのアドバイスをくれた石田奈々さんは、「ヘアトニック類は、顔でいう化粧水と同じ。ヘアトニックで頭皮の水分補給を行いプラス、ヘッドマッサージやブラッシングでいたわってください」と話します。ここでは悩み・症状別のお手入れポイントを聞きました。

悩み・症状 観察方法 現象 考えられる原因 お手入れポイント
かゆみがある
においがある
頭皮が脂っぽい
肌診断機器 毛穴が詰まっている
頭皮が汚れている
皮脂やほこりなどの汚れが毛穴に詰まる
皮脂が刺激物に変化する
洗髪し、頭皮の汚れや余分な皮脂を取り除いて清潔に。ただし、皮脂の取り過ぎは頭皮の乾燥の原因になるので、洗髪後に育毛剤などで頭皮の保湿を
スタイルの持ちが悪い
髪が細くなった気がする
髪が薄くなった気がする
抜け毛が増えた
肌診断機器 髪の本数が減少したり髪が細っている 頭皮や毛根の新陳代謝の低下
ヘアサイクルの乱れ
育毛料を使って頭皮のモイスチャーバランス(角質層の水分、脂質、天然保湿因子NMFのバランス)を整え、ヘッドマッサージなどで新陳代謝を高める
問診触診 頭皮が硬い 乾燥などにより頭皮の水分量が低下
新陳代謝の低下
乾燥したフケが出る 肌診断機器 角質の乱れ。頭皮は通常ほぼ6週間のサイクルで細胞が新しくなる 乾燥
細胞の増殖が盛ん
モイスチャーバランスを整える育毛料の使用を。ひどい場合は病気の可能性が考えられるため、皮膚科専門医に相談を
長時間太陽の下にいたら、頭皮が赤くなったり痛みを感じるようになった 肌診断機器 頭皮の日焼け。日焼けした頭皮は茶色か赤色になっていて、赤色はやけど状態になる 地肌の露出が多い分け目部分や薄毛が原因であることが多い 育毛料を使って頭皮のモイスチャーバランスを整え、ヘッドマッサージを行って新陳代謝を高めること
長時間太陽の下にいたら、髪が明るくなったり、パサついた状態になった 問診触診 毛髪の日焼け
 (赤茶ける)
髪がパサつく
紫外線により毛髪のたんぱく質が壊され、毛髪がもろく傷つきやすくなる
水分が奪われ乾燥する
毛髪中の黒褐色系の色素であるメラニンの酸化分解
紫外線防止剤配合の洗い流さないトリートメントの使用を。野外では帽子や日傘を積極的に利用し、紫外線から髪を守ること
髪のダメージが気になる 問診触診 髪がごわつく
くし通りが悪い
パサつく
つやがない
ヘアカラーやパーマの繰り返しによるダメージ
間違った手入れ法(髪をすり合わせる、髪が濡れたまま寝る、乱暴なコーティング)
ムリなブラッシングや乱暴な洗い方は避け、丁寧に洗髪を。傷んだなと感じた場合は、トリートメント剤を使用して早めのヘアケアを心掛けて

「リビングおかやま」「リビングくらしき」2014年7月12日号掲載

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