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梅雨だるを乗り切ろう


梅雨どきの心身の不調「梅雨だる」。原因と生活の注意点、取り入れたい食材をアドバイスしていただきました。

梅雨だるを乗り切ろう

小比賀先生/大塚先生/植田先生
お話を伺ったのは… 岡山大学病院総合内科

小比賀(おびか)
美香子 先生

総合内科医局長
専門は医学教育・糖尿病

大塚 文男 先生

総合内科教授
専門は内科・内分泌学

植田 圭吾 先生

総合内科寄付講座准教授
専門は漢方医学

 体がだるい、食欲が低下するなど、梅雨どきの心身の不調「梅雨だる」。

 岡山大学病院総合内科の先生方から、原因と生活の注意点についてお話を伺いました。

 国際薬膳調理師の岡田智美さんからは、この時季取り入れたい食材をアドバイスしていただきました。

カタツムリとあじさいのイラスト

梅雨になると不調になる
水無月(みなづき)つゆ子さんは、こんな症状で困っている

脳…低気圧の影響で片頭痛が起きたり体がだるくなったりする

髪がまとまりにくい

胃腸…湿度のせいで食欲が低下、冷たいものの飲食で消化吸収力も低下する

子宮・卵巣…女性ホルモンの乱れで月経不順

つゆ子さん全身イラスト

甲状腺…全身の代謝を維持する甲状腺ホルモンの乱れでイライラ

自己免疫疾患でアレルギー反応が。高湿度や蒸れも肌荒れの原因

代謝が悪く、体に水分がたまりやすいため、足がむくんで重いなどの症状が

イラスト/イシダショウコ

湿度や気圧変化など悪条件が重なるとき

大塚先生 新学期、新年度を迎えて、新しい環境になじもうと頑張り過ぎ、6月はそれまでの疲れや反動が表れてくる時期だといえます。湿度が高くなって食欲が低下し、栄養バランスが悪くなり、胃腸の消化吸収力も低下して、ますます栄養が体に吸収されにくくなったり、蒸し暑くなって薄着をして風邪を引いたり。いろいろな悪条件が重なります。

 気圧の変化も原因の一つ。自律神経は、交感神経と副交感神経という2つのモードを切り替えてバランスを取っており、私たちの体は、高気圧のときには交感神経が、低気圧のときには副交感神経が優位に働きます。一般に、梅雨時は低気圧が発生しやすく、副交感神経が優位に働き、脳の血管が拡張して頭痛が生じたり、血圧が低めになって体がだるくなったりするのです。

 理由のはっきりしない体調不良である〝不定愁訴〟も現れやすいとき。数多くのホルモンのうち、甲状腺ホルモンが原因になることもあり、このホルモンの乱れがイライラなど気持ちの乱れにつながります。甲状腺機能の異常でバセドー病や橋本病などの持病を持っている人は悪化しやすいときです。

アマガエルのイラスト

 また、免疫システムが異常に反応する「自己免疫疾患」が起こり、皮疹が出るなどアレルギー反応が表面化することもあります。体と心は一体なので、体の不調が心にも影響します。

 乗り切るポイントは、リズムのある生活を送ること。朝の光を浴びて目覚める、起きる時間を一定にする、朝ごはんをきちんと食べるなど体内時計を狂わせないように。睡眠をしっかり取る、早めに休息を取って無理をしない、脂分や塩分を取り過ぎないなど、日ごろから気を付けたいことを梅雨は特に意識してください。

体の水分がたまる「水毒」で不調に

植田先生 湿度の高い梅雨どきは体の水分もたまりやすく、漢方でいう「水毒」や「水滞」の状態になりがちです。この時期にだるさやむくみなどの不調が起きる人は水分代謝が悪い可能性があります。

 また、そのような状態のときにエアコンを使って水のたまった体を冷やすとさらに不調が起きます。熱中症の危険もあるので水分は必要ですが、適切な水分補給を心掛けましょう。漢方薬を使う場合は水分の代謝を良くしたり排出したりする作用のあるものを使います。

女性ホルモンの乱れで月経不順にも

小比賀先生 女性の場合、梅雨は女性ホルモンの乱れで、月経不順や月経時の体調不良がひどくなりやすいですね。女性に多いといわれる、筋肉量が減少して筋力や身体機能が低下する「サルコペニア」が疲労を強める場合もあるので、日ごろからバランスのとれた食事と運動を心掛けることが大切だと思います。

 ファッションや雨具を華やかなものにしたりして上手に気分転換をするのも有効ではないでしょうか。酢の物や梅干しなどを積極的に取ると食欲増進につながります。

体を冷やす飲食を控えて湿邪対策を

 体内に入り込み、体の不調を引き起こす湿気のことを中国医学では「湿邪」といいます。「湿邪」によって、①「脾(ひ)」「胃」の働きが低下する②「気」の流れが悪くなる③代謝が悪くなって水分が体にたまり、排出しにくくなる…といった状態になり、体調が悪くなると考えます。

 特に注意すべきは、ジュース、ビール、アイスクリームなどの飲み過ぎ、食べ過ぎ。冷たいものを取り過ぎると、おなかをいったん冷やしてしまい、消化吸収力を発揮するにはもう一度温める必要があります。野菜などから水分を取るようにして、水を過度に取らないようにしましょう。

 体の水分は中国医学で「津液(しんえき)」といい、ただの水ではなく、エネルギーを持っています。汗も津液の一つ。すごく汗をかいたらすごく疲れますよね。それは汗が出るとき、水だけでなく「気」も一緒に抜けているから。水だけではなく食材で「気」も補充する必要があります。汗や尿や便などが出にくいのもよくないし、出過ぎてもよくないのです。

岡田さん

岡田 智美 さん
国際薬膳調理師(上級)、国際中医師、Holistic Nutritionist(アメリカのホリスティック栄養学の資格)。リビングカルチャー倶楽部の「薬膳アドバイザー資格対策講座」講師も務める

この時季とりたい岡田さんのおすすめの食材

◆「脾」「胃」の働きをよくする…穀類、イモ類、豆類、ショウガ、パクチー(気をめぐらす効果も)など

◆「気」をめぐらす効果のあるもの…香りのあるもの、青ジソ(毒消し効果も)、ミョウガ、ハーブ類、かんきつ類など
※冷奴にネギやショウガなどの薬味をかけるのは食欲を増進したりおなかを冷やしすぎない昔からの知恵

◆水分の排出を助ける、利尿作用のあるもの…ハトムギ、緑豆、小豆、枝豆、もやし、トウモロコシ、冬瓜などのウリ科
※ハトムギやトウモロコシはごはんに混ぜたり、お茶にして飲んでもよい。ゆで汁に作用があり、トウモロコシはヒゲにも作用があるので、一緒にスープにしたり炊いたりしてゆで汁を飲んでもいい。小豆でもあんこはゆでこぼしているので、あまり作用がない。ちなみに台湾では最初のゆで汁である小豆水、ヨクイニン水(ハトムギ)が売られている

「リビングおかやま」「リビングくらしき」2017年6月17日号掲載

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