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夏バテ気味…実は〝かくれ脱水〟かも!? 子ども高齢者要注意! 熱中症対策のカギは脱水症予防


子どもと高齢者看護の専門家に、脱水症になりやすい理由、見分け方、対処法などを聞きました。

夏バテ気味…実は〝かくれ脱水〟かも!?子ども高齢者要注意!熱中症対策のカギは脱水症予防

メインイラスト

食欲がない、体がだるい、元気が出ない。夏バテかな…。

実はこれ、脱水症のサイン。自分で対処できない乳幼児や、自覚しにくい高齢者は特になりやすく、周囲の人の観察が不可欠。

子どもと高齢者看護の専門家に、脱水症になりやすい理由、見分け方、対処法などを聞きました。

イラスト/銀杏早苗

高齢者 気づきにくく重症化の恐れも

西田教授

岡山大学大学院
保健学研究科
西田真寿美 教授

高齢者はもともと体内の水分(成人60%、高齢者50%)が少ないため、摂取する水分が不足すると脱水症を起こしやすくなります。のどが渇きにくい、食事の量が少ない、頻尿を心配し水分摂取を避ける、利尿作用のある薬を飲んでいる―など、脱水を引き起こす要素が生活の中に多く見られます。

食欲不振やだるさといった体の兆候は他の病気と見分けにくく脱水を見逃すこともあり、軽度でも意識障害になったり、脳梗塞(こうそく)につながったりと命を落とす危険も。特に75歳以上の高齢者は注意が必要です。

子ども 乳幼児は「脱水弱者」と認識を

中新教授

川崎医療福祉大学
保健看護学科
中新美保子 教授

子どもは体内の水分量の割合(成人60%に対して、新生児80%、乳幼児70%)が成人より高く、気付かないうちに呼吸や皮膚から出ていく水分や尿量も多いため、体重当たりの1日の必要水分量が成人よりも多くなります。

その上に、腎臓の機能が未発達で水分や電解質をうまく再吸収できないことや、感染病や胃腸炎など脱水を引き起こす病気にかかりやすいことなどから、脱水症になりやすい「脱水弱者」といえます。

脱水症とは?

体内の水分と電解質(主にナトリウム)が失われた状態のこと。体内の水分が成人で体重の3~5%、幼児で4~5%不足すると脱水症になり、高温多湿の夏は熱中症につながる恐れも。乳幼児は急激に症状が悪化し、高齢者は重症化しやすく、専門家は一歩手前の状態を「かくれ脱水」と呼び、早期発見・早期治療を促しています。

チェックシート

いつもに比べて2つ以上当てはまったら要注意

高齢者編

□ なんとなく元気がない、言葉数が少ない

□ 落ち着きがない

□ 食欲がない

□ 眠りがち

□ 微熱(37℃)が1日以上続く

□ おしっこの回数が減った、色が濃い

□ 便が硬い、コロコロしている、便秘

□ 血圧が低い

□ 脈が早い

□ 爪を押してみる…押した後、色が元に戻るのに3秒以上かかる

□ 舌の赤みが強い、舌に亀裂・白い膜・渇きがある

□ わきの下が乾いている(サラサラ)

□ 手足が冷たい

子ども編

□ 不機嫌、あやしても泣き止まない

□ 食欲がない

□ 泣いているが、涙の量が少ない

□ 眠りがち

□ 熱があるのに汗をかかない

□ おしっこの量が少ない、色が濃い

□ 便が硬い、コロコロしている

□ 転ぶなどしても泣かない

□ 口や鼻の中が乾いている

□ 舌の表面が白い

□ 目の周囲がくぼんでいる

□ 皮膚に弾力がない

出典:教えて!「かくれ脱水」委員会 http://www.kakuredassui.jp/

1日を通して水分を小まめに摂取することが脱水症を遠ざけます。のどが渇いていなくてもお茶や水を飲み、運動時などたくさん汗をかく場合はスポーツ飲料で水分と一緒に塩分も補給を。1日にどれだけの水分が必要か、把握しておくとよいでしょう。

西田教授

\西田先生からアドバイス/

気温と湿度を数字で把握する

高齢者編

高齢者の脱水は多くが屋内で発症します。汗をかかず暑さを感じにくい高齢者も多いので、室内に湿度計付き温度計を置き、数字で判断してクーラーを使うといいですね。

朝、毎食時、午後3時、入浴前・後、就寝前に水分補給を。特に夏場は入浴前のコップ一杯が大事です。

アルコール類は摂取すればするほど体内の水分を奪います。頻尿が心配ですが、一度にたくさん飲むのではなく、1日トータルで小まめに補給すれば大丈夫。

食欲がないときは、梅干し入りおかゆといった水分を多く含む食べ物がオススメです。

中新教授

\中新先生からアドバイス/

子ども目線で過ごしやすい環境を

子ども編

日中は1時間ごとを目安に水分をとるのが望ましく、外遊びのときは熱中していても定期的に日陰に移動させ、スポーツドリンクなど塩分を含む水分を補給するのがオススメ。

日差しが強い夏は、アスファルトの照り返しや自動車・室内の熱など、子どもにとって過酷な状況。抱っこしてあげたり、我慢せずクーラーを使ったり、ゆとりのある衣服を着せたりと、常に子ども目線で対処してくださいね。

1日の必要水分量計算表

乳児(1歳未満) 120ml×(体重)kg=(  )ml

幼児(1歳~6歳) 90ml×(体重)kg=(  )ml

成人        50ml×(体重)kg=(  )ml

※ただし、食事の水分量を含む

1日の水分摂取量と排出量

例)体重50kgの成人の場合(1日の水分出納)

1日の水分摂取量と排出量グラフ

いざというときは〝飲む点滴〟を

脱水が疑われるとき、経口補水液を摂るのが有効。「飲む点滴」といわれ、最近では薬局などで手軽に購入できます。誤嚥(ごえん)しやすい場合はゼリー状が食べやすく、冷蔵庫に一つ常備しておくと安心。塩分と糖分が多く含まれているため、経口補水液療法はあくまで応急処置の手段として利用してください。

手作り経口補水液

手作り経口補水液

★塩…小さじ1/2 ★砂糖…大さじ4と1/2
★(好みで)レモンやグレープフルーツの果汁…半分~1個分

※できるだけ作ったその日のうちに飲みましょう
※一気に飲まず、ゆっくり少しずつ飲みましょう
※凍らせたり、濃度を変えたりしないようにしましょう
※扱いには医師や薬剤師など専門家のアドバイスが必要です

「リビングおかやま」2015年8月8号掲載

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