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子育てシーズン真っ最中 ツバメのはてな?


5/10〜16は愛鳥週間。この機会に、私たちの周りにいる鳥たちに目を向けてみませんか。

〝5/10〜16は愛鳥週間 身近な鳥に目を向けてみよう 子育てシーズン真っ最中 ツバメのはてな?

 今年もツバメの子育てシーズンが到来。民家の軒先などで、かわいい姿を見せてくれています。5月16日までは愛鳥週間。この機会に、私たちの周りにいる鳥たちに目を向けてみませんか。

身近な鳥を意識することで豊かな世界が見えてくる

〝燕の画像

「生活の中にいろいろな鳥がいることが意識できると、今まで気付かなかったものが見えてくるようになります。鳥を通して季節の移り変わりや生き物たちの営みなど、豊かな世界を認識できるようになることは、人生にとって大きなプラス。鳥を見ることは、人生を変えることだと言っても過言ではありません」とは、倉敷市立自然史博物館の江田伸司さん。

 身近な鳥に親しむための第一歩として、この時季に街中で観察できるツバメに注目。意外と知らないツバメの生活について教えてもらいました。

全長…約17cm(胴体に対して、翼の比率が長い鳥の一つ)
重さ…約18g(1円玉18枚分)
オスとメスの違い…メスに比べて、オスの方が尾羽が長い
鳴き声…さえずりは非常に複雑。鳥の鳴き声を人間の言葉にあてはめる〝ききなし〟では、「土食うて虫食うて口渋い」とされています
主食…ユスリカ、トンボ、ハチなどの虫

ツバメの生活に〝異変〟も

 春から夏にかけて日本で繁殖するツバメ。民家や商店、ビルの軒先、駅の構内など人の出入りがある建造物に巣をかける習性があります。

 「人がいるとカラスや蛇などの天敵が近寄りにくく、結果的に人が用心棒として利用されていると考えられています」と江田さん。人の行動をよく見ていて、人がいない空き家や商店街のシャッター通りなどには巣をかけないのだとか。一度の繁殖で5つ前後の卵を産み、ヒナはふ化してから約3週間で巣立ちを迎えます。その後、夜はアシの茂る原っぱなどで集団で過ごし、秋を迎えるころ主に東南アジアへ向け旅立っていきます。

 江田さんの観察によると、近年都市部のツバメの生活に異変が見られるようになっているそう。

 「従来は、軒先の角に垂直に巣をかけるスタイルでしたが、最近は照明器具や防犯カメラの上などに巣を置く〝置き型〟が増えてきた印象です。田んぼや畑が減って巣の材料である泥が取れなくなってきたこと、建材が変化してきたこと、軒のない家が増えてきたことなどが理由だと思います」

 昔は夜になると電線などに止まって休んでいたツバメですが、最近はコンビニの外灯に集まる虫を求めて、夜に活動するものも現れているのだとか。

 人の生活の変化に順応しながら、今日も子育てに奮闘しているツバメ。いつまでもその姿が見られるように温かく見守りたいですね。

昔の関係にはこだわらない!?

夫婦になるのが毎年同じ相手だとは限らない

 ツバメのつがいは子育てが終わるとペアを解消、翌年の春にまた日本に戻って来て、つがいになる相手を探して子育てをすると言われています。オスとメスでは日本に帰ってくるタイミングや場所がずれることなどもあり、同じペアがまたつがいになるとは限りません。

 私たちの感覚からすると、相手が入れ替わるのは不義理なことのように思えますが、ペアを変えることは、より多様な遺伝子を持った子孫を残すことにつながります。種の健全性を保つためにも必要なことだと考えられています。

生存率を高めるための戦略

エサをどんどん与えて育ったヒナから巣立たせる

 親鳥に向かって、一生懸命口を開いてエサをねだるヒナ。実は1回の給餌で、エサにありつけるのは1羽のみ。皆が平等にエサをもらえているわけではないようです。親鳥は元気よく餌をねだるヒナにどんどんエサを与え、その結果、たくさんエサをもらえたヒナから成長し、順に巣立っていきます。

 平等にエサをやれば、同時に巣立ちを迎えられて好都合のように思えますが、天敵に襲われるなどのトラブルがあったとき、皆がまだ巣立っていないとヒナが全滅してしまう可能性があります。育った順から巣立たせることは、全滅を回避するための戦略だとも考えられるのです。

~ツバメ観察の心得~

 親鳥は自分の巣の周りを行き交う人間が普段と違う行動をすると警戒します。観察は短時間にしましょう。

 親鳥が「チュピ」と声を出しているときや、顔を横に向けたままじっとこちらを見ているとき(ツバメの目は横についているので、横向きで対象物を見ています)も、警戒しているサイン。その場合は巣から遠ざかるようにしましょう。

 また、よそのお宅の巣を観察するときは、事前に了解を得るようにしましょう。

ツバメQ&A

ヒナが巣から落ちていた。拾って巣に戻してあげてもいい?

 必死でエサをねだっているうちに誤って巣から落ちてしまうヒナもいます。他のヒナが巣にいるときは、人間の手で巣に戻しても親が育児を放棄することはまずありません。しかし、人間がツバメの子育てに手を貸すことは自然の摂理に反すること。人間が保護して世話をすることは大変難しいのが現実です。ツバメが彼ら自身で命をつないでいけるよう、そっと見守ることが一番だと思います。

ツバメの糞に困っています。

 巣から30㎝ほど下に離して、ダンボールなどで作った糞受けを設置する方法があります。※NPO法人「バードリサーチ」が運営する「ツバメかんさつ全国ネットワーク」のHP=http://www.tsubame-map.jp/1_michi/katagami2016.htmlでは作り方を掲載しています

「リビングおかやま」「リビングくらしき」2017年5月13日号掲載

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