特集記事

子どものためのボランティア


子どもたちのために奮闘する人々の活動を通して、今の子どもの置かれている実情も見えてきます。

子ども食堂/病気の子の学習支援/子どもシェルター 子どものためのボランティア

あなたの一歩が未来の一歩に 岡山でつながろうNo.2

 いつも一人で食事をしている、病気のために教育を受けられない、制度の隙間のせいで養護されない…。そんな子どもたちのために大人ができることは何でしょうか。奮闘する人々の活動を通して、今の子どもの置かれている実情も見えてきます。

子ども食堂・えがおご飯でつながる居場所 東山公民館で月1回おにぎりのイラスト

調理の様子

加盟団体の「岡山食べもの通信読者会」のメンバーが中心になって調理。「共働きの家庭が増えている中、孤食も増えています。子どもと一緒に作ったり食べたりしながら、食について伝えていければ」と梅澤章子さん(右)

10月のメニュー

10月のメニュー。お好み焼き、けんちん汁、焼き野菜、フルーツのヨーグルトあえ

 貧困家庭や孤食の子どもに無料で食事を提供することを目的に活動する子ども食堂。今、全国で広まっており、岡山にも次々に子ども食堂が誕生しています。

 その中の一つが、東山公民館で月に1回、開催されている「子ども食堂・えがお」。みんなで食べるとおいしいことを実感してほしいという思いで集まった人たちにより、昨年7月にスタートしました。①学びの場②食事の場③居場所…の提供が目的です。ここは、子どもは誰でも大歓迎とオープンなのが特徴。「今年春から平井小学校全校生徒にチラシを配布していますが、他の学区の子どもも来ています。特定せず、いろいろな子が来るから、本当に支援が必要な子どもも行ってみようかなという気になると思うんです」と代表の長﨑司さん。読み聞かせ、工作など子どもが楽しめる工夫がされています。

 食材購入は大人が支払う食事代300円からまかなうほか、フードバンクやスーパーマーケット、岡山市青果市場から無償で提供された食材も使われます。

一緒に作ったり食べたりして食を共有

 親子で来てもOK。子どもと参加した保護者からは「子どもが料理の手伝いができるので、時々参加しています」「家で子どもと2人きりだとイライラすることもあるけど、ここでは楽しく過ごせる。こういう行き場があるとうれしい」「家ではあまり食べないわが子が、ここではよく食べる」などの声が。「子どもが発達障がいで将来が不安です」などと相談する保護者もいるそうです。

管理栄養士、元保育園園長、保健師ら専門的スタッフが関わっているので運営がスムーズです・長﨑司さん/何度か通ってきているうちに子どもが少しずつ心を開いてくれるのがうれしい・服部一美さん

事務局・服部一美さん(左)と代表・長﨑司さん

【子ども食堂・えがお】
東山公民館(岡山市中区平井4-13-33)☎086(276)6202東山公民館
開催は月1回(公民館のあいている日曜)
食事代:子ども無料。大人300円(ボランティアも親も一律)できれば事前に予約を。当日も受け付け
次回の子ども食堂はクリスマス会
12月24日(日)10:00~13:00
◆寄付・ボランティア
花畑のイラスト・タマネギ、ジャガイモ、そのほかの野菜、果物、お米、大豆の提供
・運営のためのカンパ
 郵便振替口座 子ども食堂・えがお 口座番号 01330-7-104959
・当日のボランティアスタッフ

ポケットサポート病気の子どもの学習支援、自立サポート文具のイラスト

学習支援の様子

奥田本町の事務所は現在は週2日オープンし、自宅療養中の子どもがやってきます。スタッフが学習支援や自立支援をしてくれます

病気の子どもと家族が孤立しないよう、団体の認知度を高めて支援の輪を広げていきたいです

代表理事の三好祐也さん

 病気やけがを理由に長期欠席している子どもたちは、岡山県内に小学生534人、中学生564人(平成27年度学校基本調査より)との報告があります。そんな病気の子どもたちの支援をしている団体が「ポケットサポート」。

 団体を立ち上げた三好祐也さんは「長期にわたって治療中・入院中の子どもは、学習や経験に空白が存在します。団体名には、空白=ポケットのある子どもの空白を埋めたいという気持ちが込められています。入院中、退院後から復学まで切れ目のない継続的な支援を目指しています」と話します。三好さん自身、5歳のときから慢性疾患で入退院を繰り返し、中学2年まで院内学級(岡大病院)に通っていた経験の持ち主。大学生になって自分がお世話になった院内学級でボランティアをしたとき、「退院した後も勉強を教えてくれる人がいたらいいのになあ」というあるお母さんの言葉に動かされました。「病気のとき、学校に行けないことも友達と遊べないことも仕方ないと思っていたけど、本当に仕方ないことなのか。これは社会の課題じゃないかと気付いたんです」

退院後の空白も埋めていきたい

 院内学級のある病院は限られているため、ボランティアが病院に出向いて学習支援を行い、退院後も引き続きサポート。「退院したらすぐに学校に行けると思っている人が多いけれど、退院後の方が大変なこともある。病院内のように管理されておらず、ケアは家族だけになり、相談相手もいないですから。そこで家庭訪問やネットを使っての学習支援を行っています」と三好さん。約20人の子どもたちを、学生ボランティア40人と社会人十数人が支援。病児へのこのような学習支援活動がメインの団体は全国でも珍しく、他地域のモデルになっていくことが期待されています。

【支援を受けた子どもから】
「僕は生まれつきの心臓病で入退院や手術を繰り返してきました。長い間、集中治療室にいたのでICUシンドロームになり、病状も悪い上に精神的にもまいっていました。そんなとき、三好さんが何度も会いに来てくれました。今度は僕も三好さんのように病気と闘っている子どもたちに元気と笑顔を届けるお手伝いができればと思っています。(社会人1年目Hくん)
【NPO法人 ポケットサポート】
岡山市北区奥田本町22-2 ☎086(941)1713事務所 ☎090(7590)0571事務局
◆寄付で支援
賛助会員は個人3000円~
ゆうちょ銀行 特定非営利活動法人ポケットサポート 口座番号 01340-3-104683
◆一緒に活動する
・学生ボランティア(研修後に活動に参加)
・保育士・教員免許を持っている人のプロボノ(専門性を生かしたボランティア)
・イベントスタッフとして参加
大学生向け新規ボランティア説明会
花畑のイラスト12月10日(日)10:00~12:00 きらめきプラザ。無料。要予約

子どもシェルターモモ制度の隙間で居場所を失う子どものセーフティーネットクローバーのイラスト

皆で集まって食事会

皆で集まって食事会

おおもと荘

おおもと荘

困難を抱えている子ども自身には、何の責任もありません。まずは関心を持って、子どもたちの置かれている実情を知ってください

子どもシェルターモモ
副理事長・西﨑宏美さん

 虐待を受けている子どもを一時保護するのは児童相談所ですが、一時保護できるのは17歳まで。18歳になった高校生は保護してもらえません。また、家庭で育つことができない子どもは、18歳まで児童養護施設で暮らすことができますが、通学していることが条件。中学を卒業して働く子や、高校を中退した子は退所を余儀なくされます。

 これは児童相談所や児童養護施設の問題ではなく、法律でそう定められているから。居場所を失った子どもは知り合いの家を転々としたり、親切に声をかけてくれる人の家に身を寄せたりしますが、危険が待ち構えているといいます。

 制度や法律の隙間で居場所を失う子どものセーフティーネットの役割を果たしたいと活動するのが、NPO法人「子どもシェルターモモ」。家庭や児童養護施設で暮らすことのできない15歳~20歳の子どもたちに、緊急避難先と共同生活の場を提供し、子どもたちの自立を支援しています。岡山で「子どもシェルター」が開設されたのは平成20年。これは東京、横浜、名古屋に次いで全国4番目。地方都市では初の試みでした。

自立援助ホームでもサポート

 「モモ」の家が緊急避難場所なのに対し、15~20歳の子どもの自立を、児童福祉経験のある常勤スタッフが生活を共にしつつ、サポートしているのが「自立援助ホーム」(一部公的な財政支援あり)。現在、岡山には「おおもと荘」(男子)と「あてんぽ」(女子)があり、子どもたちは働いて寮費を納め、自立資金の貯蓄を目指します。

 これまでの受け入れ人数は、モモの家(女子)が58人、自立援助ホーム男子37人女子36人。子どもシェルターモモの副理事長を務める西﨑宏美さんは、「ここに来るほとんどが被虐待児。身体的、精神的虐待やネグレクト(育児放棄)など複合的な虐待を受けており、対人恐怖、大人への不信感・絶望感が根強く、接する大人側は常に試され、学ぶ日々です。あなたのことを愛しいと思っていることが子どもに伝わったとき、初めて心を開いてくれたという経験もあります」と思いを語ります。

 トラウマを持ち、家族という後ろ盾のない子どもが、シェルターやホームを出た後、たった一人で社会に出るのは大変なこと。継続して支えることが必要と考え、アフターケア相談所「en」(えん)も開設しています。

【認定NPO法人 子どもシェルターモモ】
花畑のイラスト岡山市北区清輝橋1-2-9(事務所) ☎086(206)2423
◆寄付
郵便振替口座 特定非営利活動法人子どもシェルターモモ 口座番号 01370-4-52835
◆買い物で貢献する
イオン幸せの黄色いレシートキャンペーンに参加。毎月11日、イオンモール岡山が発行する黄色いレシートを「子どもシェルターモモ」のボックスに入れると、購入代金1%分の品物がモモに贈られます
◆ボランティア
ボランティアは、研修に参加した後、高卒認定試験を受験するための学習支援、手続き等の付き添い、食事作りなどを手伝います。研修は来年1月19日(金)~3月9日(金)の毎週金曜18:30から、きらめきプラザで。条件は全8回のうち5回を受けること。費用は大人5000円、学生無料

子どもの家週3日食事を提供する子ども食堂ごはんのイラスト

調理の様子

毎日5、6人のスタッフが交替でボランティア

 「今日の晩ご飯はボク1人」「お母さんがお仕事の日はお弁当を買って食べる」…家庭の事情で満足に夕食を食べられない子どもや孤食の子どもなどを対象に、食事を無償で提供する「こども食堂」。岡山県内でもおよそ28カ所あります。

 そのほとんどが月1回なのに対し、赤磐の子ども食堂「子どもの家」は、週3回食事を提供。また月曜の小学生対象の居場所、土曜の寺子屋(福武教育文化振興財団助成)も合わせると、週5日開所しています。

 放課後立ち寄る子どもたちを「おかえり~」と出迎え、今日の出来事に耳を傾け、学習を支援。夕食の必要な子どもは、スタッフと一緒に食卓を囲みます。必要に応じて入浴や洗濯をすることもあるそう。赤磐市在住のボランティアが、交替で支援しています。

 支援の輪を広げるため、11月26日(日)「子どもの家縁側市&報告会」を開催します(表下)。

【一般社団法人 子どもの家】
花畑のイラスト赤磐市山陽4-8-19 ☎086(954)4844
対象:小学生から18歳
・月曜(15:30~18:00)…小学生のみ対象
・火・木・金曜(15:30~19:00)…夕食あり
・土曜(13:30~15:30)…小学生対象の習字・そろばん
子どもは無料、スタッフは夕食代300円 ※ボランティアや食材の提供ができる人は問い合わせを
◆子どもの家 縁側市&報告会
○日時:11月26日(日)10:00~14:00 ○会場:子どもの家
【報告会と対談】10:30~12:00
子どもの家開所から2年半の取り組みを代表理事・小阪田徹さんが報告、岡山県下子ども食堂・居場所など子どもの貧困に関する取り組みを井上建吾さん(山陽新聞社編集局)が情報提供
【青空市とバザー】10:00~14:00
野菜、米、みかん、焼きそば、ぜんざいなど
入場無料、申し込み不要(後援=赤磐市、赤磐市教育委員会)

ぐるーん抱っこから始めるボランティア風船のイラスト

乳児を抱っこしている河本さん

毎週水曜に乳児院で抱っこしている河本さん

いろいろな大人がいろいろな距離感で関わっていけばいい。子どもは社会の宝物。社会全体で子どもたちを守っていかないと

河本美津子さん

 日本全国では約4万3000人、岡山市では200人以上(平成28年度)の子どもたちが、さまざまな理由で家族と暮らすことができず、施設で生活しています。施設の職員からは「本当は子どもをもっと抱っこしたい。人が足りない」という声も。そこで、そんな子どもたちに、〝抱っこ〟で人の温かさを届けようと活動しているのが「ぐるーん」。サポーターと呼ばれる登録会員が、定期的に乳児院や児童養護施設を訪問し、子どもたちを抱きしめたり、触れ合ったり、一緒に遊んだりする活動をしています。

 神奈川を本拠地として平成23年にスタートし、現在は岡山が中心になって全国16県で活動。岡山県内では300人以上がサポーター登録し、約30人が近くの施設を訪問しています。

 抱っこに行くには月に2回以上、1年以上の継続が要件。「最初は月に2回は難しいと言っていたのに、いざ始めると毎週通っているサポーターもいます。抱っこしに行ったけど自分が抱っこされた、もらうものの方が大きいと、皆さん口をそろえます。顔を見てハイハイしてくる子や、今度いつ来るん?と聞いてくる子もいますし、すごくわがままだった子が落ち着いてくるなど、子どもの様子にも良い変化が見られるんです」と代表理事の河本美津子さん(岡山市在住)は活動の意義を生き生きと伝えます。

一時里親という関わり方もある

 一方で、里親に対する理解を深めるための講座や座談会も開催し、里親普及活動も展開。「里親というとすぐに養子と思われますが、一時里親という関わり方もあることを知ってほしい。一時里親とは、親元にめったに帰れない子どもを、週末や長期休暇に家庭に迎えて、家庭生活を送る機会を提供すること。私自身、一時里親として関わっています」と河本さん。「施設で育った子どもに、家庭生活を体験させてほしい。その子が家庭を築く際のモデルになります」と続けます。

 定期的なボランティアが難しい人は、単発のイベントに参加したり、得意分野やスキルを生かしたりなどの形で参加することも可能です。

【一般社団法人 ぐるーん】
岡山市北区下伊福西町7-32-309 ☎086(236)8955
◆活動内容
花畑のイラスト・乳児院や児童養護施設で親と離れて暮らす子どもと抱っこやスキンシップ
遊びを通して触れ合う
◆活動までの流れ
サポーターに登録→地域リーダーと相談→施設面談→抱っこデビュー

「リビングおかやま」「リビングくらしき」2017年11月25日号掲載

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