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体の焦げAGEs(エージーイーズ)を知ってストップ!老化&病気


「いつまでも若々しく、健康でいたい」—。
そんな願いを邪魔する「老化」や「病気」を引き起こす物質が今、注目されてきています。

体の焦げAGEs(エージーイーズ)を知ってストップ!老化&病気

「いつまでも若々しく、健康でいたい」—。そんな願いを邪魔する「老化」や「病気」を引き起こす物質が今、注目されてきています。

それは「AGEs(エージーイーズ)」。どういう物質で、体にどんな影響を及ぼすのか、抗老化を研究している同志社大学大学院・アンチエイジングリサーチセンター教授の米井嘉一先生に詳しく伺いました。

お話をしてくれたのは…

米井先生

同志社大学大学院
生命医科学研究科
アンチエイジング
リサーチセンター教授
医学博士

米井 嘉一 先生

「AGEs」とは体が焦げてできる物質

AGEs(たんぱく糖化反応最終生成物)とは、体の中のタンパク質・脂質が余分な糖と結びついたところに体温という熱が加わり変性、劣化した状態のことです。この変性、劣化を「糖化」と言います。

例えば、ホットケーキを焼くとこんがり焦げてキツネ色に変化しますが、それと同様のことが私たちの体の中で起こっているのです(イラスト参照)。

食品が調理の過程で糖化するのは、おいしい料理になるわけですからいいことです。しかし、体の大部分をつくっているタンパク質や脂質が糖化して焦げた状態になるのは問題。組織が本来の機能を果たすことができなくなるため、老化や病気をはじめとするさまざまな悪影響を引き起こすようになってしまいます。

体が糖化しやすいのは、血糖値が高い状態。また、中性脂肪やLDLコレステロールが高い、アルコール依存症でアセトアルデヒドが体内に大量にある、慢性腎臓病でAGEsの排出がスムーズにできないといった場合も要注意です。

体が糖化して「AGEs」が溜まると…

メインイラスト

イラスト/熊猫手作業社

脳への影響

アルツハイマー型の認知症は、βアミロイドが溜まって脳神経細胞を傷つけることが原因の一つ。このβアミロイドが糖化すると、さらに毒性が強くなり細胞に炎症を起こします。

目への影響

目の水晶体はクリスタリンというタンパク質でできており、これが糖化することで白内障を引き起こします。また網膜が糖化すると、加齢黄斑(おうはん)変性症を引き起こします。

骨への影響

骨の体積のおよそ半分はコラーゲン。これが糖化すると骨質が劣化してもろくなり、いわゆる骨粗鬆(しょう)症になります。

血管への影響

脂質が糖化・酸化したLDLコレステロールが増えると、マクロファージが捕食してその死骸が粥(のり)状の塊になって血管内に溜まり、アテローム性動脈硬化症を引き起こします。

血液への影響

糖を摂り過ぎると、余った糖がタンパク質であるヘモグロビンと結合してAGEsとなります。全身に酸素を運ぶヘモグロビンが本来の役割を果たせなくなるので、新陳代謝が低下します。常に血糖値が高い状態にある糖尿病は、万病のもとといえるでしょう。血液中に溜まったAGEsは、糖尿病の合併症である神経障害や網膜症、腎症の悪化も招きます。

生殖機能への影響

女性の持つ卵子のもととなる原子卵胞は、生まれたときから体内に存在しており、糖化に強くありません。そのため、大量のAGEsに長期間さらされていると不妊につながる可能性があります。また、男性の精巣機能の低下も招きます。糖尿病の患者にED(勃起不全)が多いのは、そのためだと考えられます。

酵素への影響

私たちの体のあらゆる生命活動に関与している酵素もタンパク質。酵素が糖化することで、消化、代謝、循環などがスムーズに行えなくなる可能性があります。

肌への影響

糖化は、タンパク質・脂質が焦げる現象なので、肌が糖化すると黄ばみやシミとなります。また、コラーゲン線維が糖化して固くなると肌の弾力が失われ、しわの原因となるほか、代謝異常にもつながります。

ゼロにはできない「AGEs」つらくない・溜めない工夫は可能

このように私たちの体を衰えさせ、病気を引き起こすAGEs。ですが、そもそも体の大部分はタンパク質・脂質でできていて、エネルギー源として糖は必要なものなので、ゼロにすることはできません。しかし、つくられにくくする工夫や、体に溜めこまないようにすることは可能です。

ゼロにはできないけれどつくらない・溜めない工夫は可能

AGEsをつくられにくくし、溜めにくくするためには、「食事」「運動」「睡眠」が重要です。

食事で
対策

血糖値を上げない食べ方、抗糖化作用のある食品を

AGEsは食品にも含まれていますが、摂取するに当たって過敏になる必要はありません。

メインイラスト

まずは、炭水化物・タンパク質・脂質を6・2・2の割合で適正な量を摂るようにしましょう。次は、血糖値が急に高くならないように、野菜や海草などの繊維からタンパク質、炭水化物の順番で食べるように工夫すると糖化が抑制されます。

さらに、糖化反応を阻害して、AGEsがつくられにくくする食品(下表参照)を摂取するよう心掛けて。表の食品以外で、リンゴの皮、クエン酸を多く含むかんきつ類もお勧めだそうです。このほか、加工食品や清涼飲料に含まれていることが多い「異性化糖(果糖ブドウ糖液糖)」は、砂糖の10倍糖化しやすいという研究結果が。なるべく避けるようにしましょう。

メインイラスト

運動で
対策

食後の軽い運動で血糖値の上昇を緩やかに

食後の血糖値を下げるために有効なのが、適度な運動です。食後1時間が血糖値の上がるタイミングなので、その時間に動かないでいると高血糖状態が続いてAGEsがつくられやすくなります。そのため、食後30分くらいから運動をすると血糖値の上昇を緩やかにすることが可能。ウオーキングなどの軽い運動または、食器洗いやお茶を入れるなど軽い動作をすることを心掛けましょう。

睡眠で
対策

たっぷりの睡眠とリラックスでAGEsを溜めない体に

睡眠時間が6時間未満の人は、AGEsの蓄積量が多いことが分かっていますので、十分な睡眠をとりましょう。逆に、8時間以上睡眠時間がとれている人は、蓄積量が少ない傾向。このほか、ストレスやたばこも糖化を促進するので、注意を。

「AGEs」を溜めない生活で健康寿命を延ばそう!

AGEsを分解し、排出を促す薬は、まだ開発されていません。しかし、植物中に存在する天然の化学物質(フィトケミカル)で、そのような働きをするものの研究が進められているそうです。

また、皮膚に蓄積されたAGEsの量を測定できる医療機器も開発されています。その機器はまだ普及していませんが、2、3年後くらいには広く普及してAGEsを管理し、健康維持に役立てることができるようになっている可能性は大いにあります。

日本人の「平均寿命」は、女性が86.83歳、男性80.50歳(平成25年7月30日、厚生労働省発表)で3年連続世界一、過去最高を更新。しかし、介護を必要とせずに自立して生活できる「健康寿命」は女性が74.21歳、男性が71.19歳です。老化や病気を防ぎ、なるべく長く元気で生き生きと過ごすために、糖化によってできるAGEsを溜めない生活を!

AGEsがつくられにくくする食品の一例

茶・健康茶 野菜・ハーブ 醗酵食品 フルーツ
1 玄米 モロヘイヤ 豆味噌 ライム
2 紅茶 蕗の薹(ふきのとう) 赤ワイン かりん
3 甜茶(てんちゃ) 新しょうが ゴーダチーズ スターフルーツ
4 緑茶 ローズマリー 濃口しょうゆ パッションフルーツ
5 ドクダミ ヨモギ粉 溜りしょうゆ リンゴ(フェイジョア)
6 ジャスミン 蓼(たで) チェダーチーズ イチゴ
7 ハマ茶 サニーレタス 米味噌 ブルーベリー
8 プーアール茶 ベイリーブス(月桂樹) 薄口しょうゆ さくらんぼ
9 烏龍茶 食用菊(花弁) 黒豆納豆 バナナ
10 ほうじ茶 穂紫蘇(ほじそ) 米酢 イチジク

同志社大学 糖化ストレス研究センター2013年データより

【表の見方】
表の番号1~10は、AGEs生成を抑制する作用が強い順番。それぞれの食材乾燥物から抽出したエキスの、IC50という数値を比較(IC50は AGEs産生を50%抑制する濃度で50% inhibition concentrationの略)。IC50が小さいほど、作用が強い

「リビングおかやま」「リビングくらしき」2015年8月22号掲載

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