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介護の入り口に立って一喜一憂する日々


11月11日は「介護の日」―。
自分ならどう対処するか、この機会に考えてみませんか。

老々介護の両親との接し方に悩むA子さんの〝生の声〞 11月11月は「介護の日」 介護の入り口に立って一喜一憂する日々

11月11日は「介護の日」―。
「介護」と聞くと無意識に躊躇(ちゅうちょ)してしまう人も多いのではないでしょうか。
A子さんもその一人。老々介護生活を送る実家の両親と別居していますが、家事を手伝いに行く度、その言動・行動に手を焼いています。いずれ必ず始まる本格的な介護を前に、不安は尽きません。
A子さん〝生の声〞を紹介します。自分ならどう対処するか、この機会に考えてみませんか。

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「介護の日」…
介護について理解と認識を深め、介護従事者、介護サービス利用者、介護家族を支援し、その人たちを取り巻く地域社会で支え合い、交流を促進しようと、厚生労働省が平成20 年7月に制定。
各地で、高齢者や障がい者に対する介護に関して啓発活動や講演会、イベントなどが実施されます。

A子さんと実家の両親は…

◆私…A子さん(60歳)

血液型:A型
仕事…週4日のハーフタイムパート
家族…実家から車で10分ほどの所に、会社員の夫と二人暮らし。娘2人は独立して県外で暮らす。
※週2回、実家で家事のほか、入浴の介助、病院への送迎、買い物などを手伝う

◆妹(57歳)

血液型:O型
仕事…フルタイムパート
家族…会社員の夫と県外で二人暮らし。
※月に1回程度、様子を見に帰省してくる

◆父 (89歳)

血液型:A型
職歴…定年退職するまで公務員一筋
性格など…自分のことは自分でやるタイプ。
正義感が強く、昔人間の典型的な節約型

◆母 (85歳)

血液型:A型
職歴…主婦で会社勤務の経験なし
性格など…欲しいものはすべて買うタイプ。
世間体を非常に気にする、やや浪費型

必ず〝老い〟は来ます!あなたならどうする?

始まりは母の3度目の入院から

 3年前のある日、自宅の電話が鳴りました。病院から「お母さまが入院されたので来てください」。過去に軽い脳梗塞(こうそく)を起こしているとかかりつけ医の先生に言われ、「今度発症したら厳しい状況になるかも」とも言われていたので覚悟はしていましたが、幸い命に別状はなく、2週間ほどで退院。ほっとしたのも束の間、以前骨折して大手術をした股関節が悪化し、自宅でも歩行器を使い、昼夜を問わずおむつをするようになりました。それをきっかけに私は、仕事、体力を考え、生活サイクルの中で可能な〝週2日通い介護〞を始めました。

 しかし、、実家に帰ると数日前に決めたはずの食事のメニューを無視し、頼んでいた事も何もしていない。「自分たちで好き勝手にするなら、どうにでもなれ」との思いがピークに達して実家を後にしますが、それでも親。近くにいる長女として葛藤しつつ、ストレスが増幅します。

畑仕事もした元気な父は手足が弱り、時に弱音も

 以前は家事の多くを自分でしていた母も、退院後は自分から動こうとせず、家にいても台所で父が作る食事をじっと待っています。外出も激減。ところが、来客があるときなどは自分でタクシーを呼び、美容院でおめかしをするのです。

 母が動かなくなった理由は父の行動にも原因があります。母の退院後、父は母に急に優しく接するようになりました。耳が聞こえないせいもありますが、父は口達者な母に、大声であれこれ指図されても文句一つ言わず、大半の家事や母の身の周りの世話、数日で70ℓくらいになる重たいおむつの入ったごみ袋の片付けも進んでします。

 夫婦で助け合うのは当たり前だと思うのですが、年の若い母が甘えているのを見ると我慢できません。母に、「父さんは手足の筋肉が落ちて自分のこともやっとなんだから、自分でできることくらいやったら! 後々、本当に困るのは私たち娘なのよ」。ズバッと本音をぶつけても、反省の顔を見せるのはその時だけ。最近も数歩の所にあるもを「あれ取って」。何様? と思いますが、母は時に孫の名前を妹と呼び違えるなど認知症も気掛かりです。

お風呂に入る頻度が減り、週1回。
母のおむつの片付けを進んでする父を手伝いたいけど、「手出し無用!」

 片や父は、退職後にしていた畑仕事をやめて以降、ここ数年でみるみる手足が弱り、用事をしようと床に座ると自力で立ち上がるまで何時間も悪戦苦闘しているようです。

 最近では、腕と足の力も入らないようで、体が痛むからと、お風呂にも週1回程度しか入りません。いくら言ってもシャワーを使わない両親は、湯船につかるのが入浴だと考えています。「私が手伝うから一緒に入ろう」「今日は入らん」「じゃあ、3日後までに入っていなかったら私が体をふくからね!」と脅すように言い、また口論。筆談の文字が乱れます。強がってか、つえも歩行器も使わない頑固な父ですが、最近は「死にたい」と弱音を口にすることも多くなりました。

早朝の電話に戦々恐々肝を冷やすことも度々

 老いては子に素直に従ってほしい―。頑固で強がり、娘に対しても手伝いを拒んでしまう父ですが、ヒヤヒヤさせられることが度々。

 午前6時、母から「お父さんが1時間たっても戻ってこない。玄関の外で倒れているかもしれないからすぐに来てと
電話が入りました。

 仕事は休めず、救急車を呼ぶには状況が見えない。もしも倒れていたら女の力では抱えられない。夫に協力を仰ぎ、夫婦で駆けつけました。ところが父は、台所のイスに座って「おう、どうしたん?」。開いた口がふさがりません。

 無事で何よりでしたが、これまでの父は、肺炎をこじらせて入院した時など、病室で深夜に目覚め、「わしは帰るぞ〜」とわめいたり、暴れたり。病院側から早期退院をうながされたことも数回。

施設入所も考えてしまう

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 両親の健康面は普段から、かかりつけ医の先生に相談していますが、「年齢的に足腰が弱るのは仕方ないが、けがをして手術でもしたら寝たきりになるケースもあり、注意して」とアドバイスされました。両親のどちらかが要介護状態になったら、面倒を見るのは自分だけど1人では抱えきれない。きっと精神的にも肉体的疲労も限界に達するはず。その時は妹にも相談し、両親に施設入所を勧めようと決めています。

 一方、施設側では近年、自然景観を生かした風向明媚(び)な場所や、周辺に文化施設が充実した場所など、入所者のライフスタイルを意識した施設づくりに努めています。先々まで考えた〝永住型施設〞をステップを踏みながら選ぶことをお勧めしています。

高齢者の介護予防などの相談は地域包括支援センターへ
 近い将来、要支援・要介護状態となるおそれがある高齢者(65 歳以上)を「特定高齢者」といい、介護認定を受けていないA子さんの両親も同じ。相談は各市町村が設置している「地域包括支援センター」へ。本人や家族だけでなく、誰でも気軽に利用できます。相談は無料。

「リビングおかやま」「リビングくらしき」2015年11月7号掲載

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