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その症状もしかして季節性のうつ!? まあいいか、と放っておかないで


皆さんは「冬季うつ」という言葉を耳にしたことはありますか。まあいいか、と放っておかないで。

季節性のうつの症状イメージ

その症状もしかして季節性のうつ!? まあいいか、と放っておかないで

秋から冬にかけて何だか気持ちが沈んだりするけど、春になると回復する―。
皆さんは「冬季うつ」という言葉を耳にしたことはありますか。岡山県精神科医療センターの耕野敏樹先生に伺いました。

耕野先生

話を聞いたのは…

耕野 敏樹 先生

独立行政法人「岡山県精神科医療センター 」医長。日本精神神経学会・日本児童青年精神医学会に所属

!双極性障害などの他の疾患が潜んでいる可能性も

 厚生労働省によると、精神疾患により医療機関にかかっている患者数は、近年大幅に増加しており、平成23年の調査ではおよそ320万人に上ります。

 うつ症状の中には「新型うつ」のように、一般の人々になじみやすいよう呼ばれているものがあります。「冬季うつ」も正式名称ではなく、学問的には反復して起こる「大うつ病性障害」に含まれます。

 大うつ病性障害は、「抑うつ気分」あるいは「興味または喜びの喪失」を主体とした心身ともに多岐にわたる症状が出現する病気です。「表1のような体の不調が1~2週間続いている方、毎年のことだし、時間が経てば治まるだろうと放っておかないで。双極性感情障害を含む他の疾患が隠れている可能性があり、注意深く見ていかなくてはなりません」と耕野先生。

 双極性感情障害でも、原因はわからないけれど急に気持ちが落ち込んでしまうという場合が多く、「大うつ病性障害とは異なる発症メカニズムで起こるといわれています。そのため治療も異なります」とも。また、大うつ病性障害は身体症状で気付く人も多く、中には腰などに過剰な痛みを感じる人もおり、症状は多岐にわたるそう。

表1

何気ない不調を見逃さないで

①こんな体の不調が1~2週間以上続いていませんか?
□眠りすぎる(または、寝つきが悪い)
□食べ過ぎる(または、あまり食欲がない)
□寝ても疲れが取れない感じがする
□吐き気、痛みなど体の不調を感じる

②上の項目に1つでも当てはまった方、下の2項目にも該当しますか?
□物事に対してほとんど興味がなくなった、または楽しめない
□気分が落ち込む、憂うつになる、または絶望的な気持ちになる

→①②どちらにも該当する方、放っておかず、かかりつけ医、精神科医に相談を

!生活リズムを整え、積極的に体を動かし太陽光を浴びましょう

 予防策の一つとして、「生活リズム(生体リズム)を整えることです」と耕野先生。日照時間の長さが関係しているという説もあり、日照時間の少ない冬は、神経伝達物質であるセロトニンやメラトニンなどの分泌不足などから、体内時計が狂いやすくなるのだとか。これには、朝、積極的に太陽光を浴びるのが有効。また、太陽光と同等の人工的な高照度の光を浴びる「光療法」は心療内科などで受けることができ、一部の大うつ病性障害の人に効果的だそう。

 さらに、運動もお勧め。「続けるうちに体力がつき、達成感を感じるようになるでしょう。食欲や睡眠の改善にもつながります」とのこと。「〝1日○回、○分○○をする〟などのノルマを決めず、楽しんでできる範囲で大丈夫です」とも。気分転換になることをつくり、暮らしの中で〝ああ、今すごく楽しい〟など、行動に伴う自分の感情を客観的に見つめることもお勧めです」

!

予防策

□生活リズムを整える(朝日を浴びて体内時計をリセット、セロトニン分泌を促す)

□体を積極的に動かす(ただしノルマを作らない)

□気分転換になることを増やす(○○のときは楽しく感じるなど、自分の感情を客観的に見つめ直してみる)

自己判断は禁物 家族の気付きも大切

 「精神疾患のある人は自分自身に対する気付きが減り、チェック項目を見ても〝自分に限ってそんなはずがない〟と思う傾向にあります。家族や周囲の人の気付きが大切です」と耕野先生。

 また、過眠(または睡眠不足)などにより昼間も眠い、やる気も出ない︱これはうつ病かなと思っていると、実は睡眠障害などほかの身体疾患が隠れていることもあり、診断は慎重に行わなければなりません。

 「自己判断はもちろん、すぐに病状を断定するのは良くありません。予防対策をしても、状態が改善しない場合も、かかりつけ医、精神科医などに相談しましょう」。

「リビングおかやま」「リビングくらしき」2016年11月26日号掲載

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