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えっ!?そうなの?眠りのウソ・ホント


えっ!?そうなの?眠りのウソ・ホント
ぐっすり眠りたい、睡眠の質を良くしたい―。
日常会話でよく聞く睡眠に関する情報は、本当なのでしょうか。

えっ!?そうなの?眠りのウソ・ホント

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ぐっすり眠りたい、睡眠の質を良くしたい―。
日常会話でよく聞く睡眠に関する情報は、本当なのでしょうか。
睡眠と生活習慣とのかかわりに詳しい川崎医療福祉大学の
保野孝弘先生に聞きました。

阿部 康二さん

保野 孝弘先生

川崎医療福祉大学 医療福祉学部臨床心理学科 学科長 心理学博士

「ベストな睡眠時間やリラックス法などは人によって異なります。〝〇〇をしなきゃ〟〝〇時に寝なきゃ〟という情報ばかりに惑わされず、自分なりの〝快眠スタイル〟を見つけてください。」

●睡眠時間は8時間が理想?

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7時間~7時間半睡眠の人が死亡率が低いという研究結果もありますが、万人に当てはまる理想の睡眠時間というのはありません。遺伝的な理由などで9時間以上がちょうど良いロングスリーパーや、5時間以下の睡眠で大丈夫なショートスリーパーもいます。年齢や睡眠の質でも変わってきます。数字に惑わされず、午前中に眠気がなくあくびが出ない、自分が調子が良いと感じる日の睡眠時間を調べてみましょう。それがあなたにとっての理想の時間でしょう。

●お肌のためには、午後10時~午前2時の間に寝ないとだめ?

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成長ホルモンが分泌されるのは、深い眠り(ノンレム睡眠)になるのが条件。したがって、眠くないのに10時にベッドに入っても、睡眠が浅ければ成長ホルモンが分泌されていない可能性大です。就寝時間は午後9時でも何時でもよいのです。ただ、起床時間が早いのに、就寝が遅い時間になり全体の睡眠時間が短くなると、体の疲れが十分に取れず、昼間、強い眠気に襲われることもあります。自分の生活サイクルをよく見極めましょう。
※浅い眠りはレム睡眠

●睡眠不足が食欲を増進させる?

○

睡眠不足になると、食欲を抑えるホルモン「レプチン」が出にくくなり、食欲を増進させるホルモン「グレリン」が出やすくなります。また、起きている時間が長ければ、そんなに空腹でもないのに、目に入ったものがついつい食べたくなって手を伸ばしてしまうので注意を。

●羊の数を数えると眠りにつける?

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羊は英語で「sheep(シープ)」。「シープ、シープ…」と繰り返すことで呼吸が整い、副交感神経が優位になって眠りにつけると考えられています。それが、日本語に訳されて広まってしまいました。日本語で「羊が1匹、羊が2匹…」と数えても効果が期待できず、かえって気になって眠れないでしょう。

●徹夜の勉強は効率が悪い?

○

睡眠をとることによって、記憶の整理が行われ、その日に覚えた必要な情報が脳内に固定されると考えられています。脳を休めるという意味でも、しっかり睡眠時間の確保を。また、夜は体と脳が自然に眠りの体制へ入っていきます。早起きしてから勉強する方が、スッキリした頭でできますよ。

●寝る前にホットミルクやお酒を飲むとよく眠れる?

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牛乳に睡眠のリズムを整える「メラトニン」を作るアミノ酸「トリプトファン」が含まれていることから、ホットミルクが良いと言われています。しかし、午前中に摂取してやっと夜にメラトニンになるくらい時間が掛かるので、寝る前に飲んでも間に合いません。ただ、温かい飲み物を飲むと、体温が一時的に上がり、その後下がったときが寝付きやすくなります。白湯もお薦めです。緑茶やコーヒーは覚せい作用のあるカフェインが含まれるので注意を。

また、お酒を睡眠導入剤のような感覚で考えている人も多いですね。確かに飲酒後の寝付きはいいですが、アルコールの分解時に発生するアセトアルデヒドにより眠りは浅くなります。さらに利尿作用でトイレに起きてしまうこともあります。

●目を閉じて横になるだけで睡眠効果がある?

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目を閉じただけでは、脳は起きています。脳も休息をとっているノンレム睡眠状態とは違います。しかし、脳が活発に活動しているときのβ波は、目を閉じるとα波に切り替わり、リラックス状態に入ります。体を休息させ、精神を落ち着かせるなどの効果はあります。

●昼寝は30分までならOK

○

人間は無意識のうちに睡眠のバランスを保とうとし、夜眠れなかった分を昼間補おうとします。昼寝は午後1時~3時の間に15~30分、ベッドに横にならず、イスに座ってウトウトするぐらいがちょうどいいと思います。長い時間(30分以上)寝てしまうと、深い睡眠に入りやすくなり、夜寝つけなかったり、眠りが浅くて途中に起きてしまったりして、翌日も午前中から体がだるい、昼が眠い…と悪循環。仕事などに支障が出てしまうことも。

ぬるめのお湯でじんわり体を温め光源もオレンジ系の照明を

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ぐっすりと眠りにつけるには、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。

副交感神経が交感神経より優位になると、人は眠りにつきやすいといわれています。リラックスして脳を休めるのがポイント。「寝る1時間前までに38~40℃前後のぬるめのお湯で入浴したり、軽いストレッチをして体をほぐすなどしてじんわり体を温めてください」と保野先生。

「考え事があって眠れなくなるという人は、家族や気の置けない人と話したり、日記や紙などに書き出してみては。それでも寝付けない人は、一度寝室から離れるのも手です」

季節や自分に合う寝具選びなど、睡眠環境も大切。特にこれから熱帯夜などで寝苦しくなる季節が到来。「静かな環境で室温25℃前後で湿度60%くらいが理想です。就寝1~2時間前にエアコンなどで室温を下げ、部屋に熱がこもらないように通気を良くしましょう」と保野先生。冷やしすぎ、直接体に冷風があたらないよう注意を。

「人間は目を閉じていても光を感じているので電気をつけたまま寝ると、眠りが浅くなります。寝る時間が近づいたら、蛍光灯からリラックスできるオレンジ系の間接光に変えてみて」

休日の寝だめは生活リズムを狂わせる

また、目覚めの良い朝を迎えるためには、まず朝日を浴びることだそう。

「人間が持っている生物(体内)時計は、本来、眠りと目覚めのリズムが約25時間。1日24時間とのズレを朝の光を浴びることによってリセット、その日の新しいリズムをスタートさせます。起床後2時間以内に約30分、窓際でも外からの日光を浴びましょう」。朝の光と同様に、規則正しい食事も生物時計を整えるのに重要。日中は意欲的に活動し、夕方、夕食後の居眠りや仮眠も避けた方がよいのだそう。生活リズムが狂う休日の寝だめもお勧めできません。

さらに、昼食後に眠くなるのは、睡眠不足とは別。「人間には12時間ごとに眠くなるリズムがあり、それがちょうど午後1時から3時の間くらい。その時間帯に少し昼寝をすると、脳がリフレッシュできるでしょう」。

ぐっすり眠るためのポイント
  • ◆眠りと目覚めのリズムを規則的にする
  • ◆昼間や就寝前は十分に起きておく
  • ◆体と脳をリラックスさせる(ぬるめのお湯で入浴、アルコールやカフェインの摂取を控える、テレビ、スマホを見ないなど)
  • ◆眠る環境(寝室)を整える(就寝1~2時間前にエアコンで室温を下げる、自分に合った寝具、熱がこもりにくい寝具を選ぶ、間接照明にするなど)

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睡眠中はコップ1杯分の汗 寝具選びも快眠のカギ

サッカー地パジャマ
アロマオイル

▲ラベンダーの香りでリラックス。アロマオイル1本1620円
◀︎綿100%。凸凹生地で汗を吸っても肌に貼りつかず、通気性が良い先染めサッカー地パジャマ。メンズ、レディース各8800円

パジャマなどのアイテムも快眠には欠かせません。岡山市内の〝快眠ショップ〟快眠ラボの瀬良智也さんに話を聞きました。

「睡眠中はコップ1杯分の汗をかくといわれています。パジャマなら柔らかく吸湿性に優れた綿素材がお薦め。大きすぎず、きゅうくつに感じない動きやすいサイズ(ゆったりめ)を選んでください」

寝る前のスマホ・PCで眠りの質が低下

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スマートフォン(以下スマホ)やパソコン(PC)から出されるブルーライトは、覚せい作用があるといわれ、睡眠安定効果のあるメラトニンを抑制してしまいます。結果、途中で目が覚めやすくなり、浅い眠りに。また、寝ていてもメールやSNSの着信音などで起きてしまうことも。

目への負担も深刻です。スマホやPCは、なるべく寝る1時間前までに止めて枕元に置くのも止めておきましょう。

「リビングおかやま」「リビングくらしき」2015年6月13日号掲載

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